タグ

ブックマーク / note.com/wakusei2nduno (11)

  • 続『不適切にもほどがある!』と「テレビ」の問題|宇野常寛

    昨日の記事をざっくりまとめると、ゼロ年代初頭(『池袋ウエストゲートパーク』『木更津キャッツアイ』)のクドカンの批判力は、90年代的な自意識と心理主義とスノビズムに対して、マイルドヤンキー的な「ジモト」の閉じた時空間を対置したところにあった。これが、先鋭化してコミュニティを自己解体し、ばらばらの「個」の連鎖になっててしまったものが『マンハッタンラブストーリー』であり、その反動で浅草という古い街の「大家族」に回帰したのが『タイガー&ドラゴン』だった。そして以降、クドカンは基的に後者をいかに拡大していくか、という路線になっていく。 要するにファスト風土化する郊外を肯定するのか、人情下町商店街に回帰するのか、という問題がここにはあった。クドカンは最初から後者に傾いていたが、「池袋」や「木更津」という「ダサい街」をそこがタテのつながり(家族、伝統)よりもヨコのつながり(仲間)との関係の場である限り

    続『不適切にもほどがある!』と「テレビ」の問題|宇野常寛
  • この国に一番必要な「(空気に抗って)引き返す」成功体験を得るためにも、「万博」はやっぱり止めたほうがいいのではという話|宇野常寛

    PLANETSCLUBは僕の私塾のようなもので、月3回のオンライン講座を開講している。うち2回は僕が信頼する研究者や批評家の講座で、僕が今自分で勉強したいと考えていることをメンバーと一緒に学ぶというのがコンセプトだ。毎回受講生同士のグループディスカッションや、講師との質疑応答も盛り上がっている。僕自身の講座は、僕が考えている最新ことや僕が培ってきた発信のノウハウを共有する講座で、もう4年も続けている。 地道にコツコツとやっているのだけれど、僕を潰したくてしかたがない同業者からはオンラインサロンのスタンド(campfire)をつかっているというだけで、「最近の若手言論人のオンラインサロン文化はダメだ」と印象操作的な攻撃を加えられている。そういう人に限って自分は敵の風評を流して貶め、陥れて、身内に対しては陰湿な「飲み会」政治で固めている陰険極まりない共同体を運営して商売していたりするので、しっ

    この国に一番必要な「(空気に抗って)引き返す」成功体験を得るためにも、「万博」はやっぱり止めたほうがいいのではという話|宇野常寛
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2023/12/05
    “なし崩し的に進行してしまっているもの、を明確な意図をもって止めたという成功体験がこの国の市民社会には必要だ……それが、僕の判断だ。そしてその成功体験に、「万博」の中止ほど相応しいものはない。”
  • 『エルピス』と「正義」の問題|宇野常寛|note

    今季(2022年秋季)のテレビドラマでは、僕はやはり『エルピス』をもっとも楽しみに見ていた。昨日放送された最終回には賛否が渦巻いているらしい。「巨悪」として描かれた大門副総理のスキャンダルを主人公の恵那が取引材料に用いて、かねてより追求していた冤罪事件の真相を報道する、という結末がその原因だ。批判的な人々の中には悪の根源を追及せずに、目の前の成果を勝ち取ることにモヤついているケースが多いように見受けられるが、これはおそらく造り手たちの狙い(問題提起)通りの反応だろう。その意味においても、この作品は大きく成功していると言える。 その前提の上で、今回は僕なりの視点からこの作品について、多少の疑問を交えながら考えてみたい。プラットフォームに脳を侵された人々は作品を株券のように採点することしか考えられないようだけれど、来人間と表現の関係はそのようなものではない。「みんな」で同じ作品を褒めて、「同

    『エルピス』と「正義」の問題|宇野常寛|note
  • トランプとゼレンスキーのあいだで (庭の話 #1-1)|宇野常寛|note

    今月から、僕が『群像』(講談社)に連載中の「庭の話」を5ヶ月遅れのペースでこちらにも掲載します。こちらは草稿段階のものになるので、掲載のものとは少しバージョンが違います。これは先週(20日)に発売になった僕の新著『砂漠と異人たち』の直接的な続編で、かつ双子の関係にあるような批評です。 『砂漠と異人たち』が僕たちがこの情報社会の相互評価のゲームのプラットフォームの外部(砂漠)を獲得するかを考えたならば、この『庭の話』はそのプラットフォームそのものを別のもの(庭)にする方法を考えたです。初回だけ、長いので2〜3分割で載せます。『砂漠と異人たち』とセットで読んでみてください。 1.キエフの幽霊幻のエースパイロットそれはロシアウクライナに侵攻を開始した日、つまり開戦の翌日に当たる 2022年2月25日のことだった。ロシアの侵攻に抵抗するウクライナの人々、そしてウクライナを支持する人々の間で、

    トランプとゼレンスキーのあいだで (庭の話 #1-1)|宇野常寛|note
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2022/12/30
    “今日の人類社会はインターネット上で/展開されているユーザー間の相互評価のゲームが支配的な力を持っている/民主主義という制度が、この相互評価のゲームが世論に対して強い影響力をもつようになったことで迷走
  • 今からでも乙武洋匡を(消去法で)当選させなければいけない3つの理由|宇野常寛

    安倍晋三元首相が暗殺された翌々日に昨日2022年7月8日に安倍晋三元首相が暗殺された。僕は政治家としての彼をまったく評価しない。むしろこの日の凋落をもたらした戦犯の一人であると考えているし、長期安定政権にあぐらをかいて数々の不正を行いそれをもみ消してきた人物であることもほぼ間違いないだろう。しかし、それがこのような最期を迎えて良い理由には当然だがまったくならない(もっと長生きして、法の裁きを受けて欲しかったと強く思う)。彼に批判的な人々のごく一部には、いくら政治的に敵対していても、人間がこのような殺され方をしてよいわけがない、という最低限の倫理を欠いた発言が見られた。匿名のものが多く、いちいち取り上げないがそのような意味でも、この暗殺事件はこの国の民主主義や、それを支える言論空間にガタが来ていることを証明する事件になるだろう。 そして、当にこういうことを考えるのも、書くのも嫌なのだが、

    今からでも乙武洋匡を(消去法で)当選させなければいけない3つの理由|宇野常寛
  • 周庭のこと|宇野常寛

    周庭が逮捕された。彼女は僕の主宰するメールマガジンで長い間連載を持っていたが、彼女から申し出があり2020年の6月で休止していた。事情は、検索すればいくつも記事が出てくるはずななので、そちらを読んで欲しい。この逮捕によって、連載の再開は未定になった(と思う)。 当は過去のメールマガジンの連載と出演動画を再公開しようと考えたが、人の意志が確認できないのと、共通の友人のアドバイスに従っていったん見合わせた。その代わりに、僕がこの文章を書いている。今からでも僕らにできることはないか模索しているのだけど、最初に断っておくがここで僕は彼女の熱心な支援者だと主張する気はない。香港の民主化運動にもっと深くコミットしている日人の支援者は山程いるし、彼女たちの理解者を名乗るに相応しい人や、彼女たちの運動の意義について語るべき人たちは他にたくさんいる。僕はほんとうに「たまたま」共通の友人を通して彼女と知

    周庭のこと|宇野常寛
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2020/08/12
    “互いへのリスペクトと信頼があった上で譲れない一線を伝え、すり合わせる。すり合わせることで、状況を少しでも前に進めるための具体案を練り込む。これが彼女たちが守ろうとしてる民主主義の精神”
  • 『井本文庫』のこと|宇野常寛|note

    立ち上げたばかりの「遅いインターネット」のウェブマガジンで先週から「井文庫」と題した連載が始まった。これはいわゆる書評連載で、毎回「暮らし」や「自然」に関係しているを紹介している。評者は僕の友人の井光俊だ。NHK出版の編集者である彼は僕の10年来の仕事仲間で、彼は僕のインターネット生放送の番組で3年ほど、月に一度を紹介するコーナーをもってもらっていた。この連載はそのコーナーの採録を再構成したものなのだけど僕は「遅いインターネット」のウェブマガジンをやろうと決めたとき、絶対にこの井書評を連載しようと勝手に決めていた。 僕は彼とこう言うとちょっと恥ずかしいけれどずっと近い距離で仕事をして、それ以上に遊んできた。一緒に悔しい思いや達成感を何度も共有してきて、その何倍も年甲斐もなくバカ話や暴飲暴を繰り広げてきた。だから人文社会科学や文化批評をずっと手掛けてきた彼が「暮らし」と「自然」

    『井本文庫』のこと|宇野常寛|note
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2020/03/03
  • 「感染しない」インターネット|宇野常寛|note

    昨晩にあたらしいウェブマガジン「遅いインターネット」をオープンした。オープンにあたってのことは、この記事やこの記事を読んでもらいたいのだけど、昨日は実のところコロナウイルスの流行の問題に、企業としてどう対応するかという問題に忙殺された1日だった。 知っている人も多いと思うけれどコロナウイルスによる新型肺炎の流行で、この数日である程度の規模のイベントは中止や延期が相次いでいる。僕個人としては「自粛」ムードが独り歩きしていると感じるところもあるけれど、リスクを高めに見積もっておいたほうがいい局面だという意見もよくわかる。実際に僕が関わっているいくつかのイベントが早々に中止になってしまい、これは僕たちPLANETSも何らかの態度表明をしないといけな、と思った。 正直に言うと、泣きたくなるような気持ちだった。僕たちは、この3月から有楽町のSAAIという新しくできたコワーキングスペースで、週に1度毎

    「感染しない」インターネット|宇野常寛|note
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2020/02/19
    “僕たちは一瞬で世界中の人たちに感染するウイルスの側ではなくて、むしろウイルスに抗う身体をゆっくり鍛えていく側じゃないといけないのだ。”
  • 五りんはなぜ3回走ったのか ーークドカンの『いだてん』は絶品(だからこそ、考えたこと)|宇野常寛

    僕はもはやFacebookやTwitterは意見を表明する場所としては相応しくないと考えています。日々考えていることを、半分だけ閉じたこうした場所で発信していけたらと思っています。

    五りんはなぜ3回走ったのか ーークドカンの『いだてん』は絶品(だからこそ、考えたこと)|宇野常寛
  • 猪子寿之と「人類を前に進めたい」|宇野常寛|note

    来月チームラボの猪子寿之さんと僕との共著『人類を前に進めたい』が発売になる。これは僕のメールマガジンの連載をまとめたもので、この4年の間僕と猪子さんは月に1度、この連載のためにスケジュールの合間を縫って対談を続けてきた。対談はだいたいお互いの近況からはじまる。最近身の回りで起きたこと、世の中を騒がせていること、べて美味しかったもの、観たり読んだりした「ヤバいもの」……だいたい最初の1時間は雑談で終わってしまう。そして1時間が過ぎたあたりでお互いの同席したスタッフの機嫌が悪くなってくる。猪子さんはスタッフのイライラをまったく意に介さずに「最近鍋に入れてうまかったもの」について延々と話し続けることができるけれど、僕は(こう見えて気を使う人なので)、できない。そして当は最近買ったドイツの動物フィギュアについて語り倒したいのだけれど、無言のプレッシャーに負けて仕方なく対談の題に入るように促す

    猪子寿之と「人類を前に進めたい」|宇野常寛|note
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/10/23
  • 「N国」とインターネットポピュリズムの現在|宇野常寛

    ■はじめに これは僕らPLANETSが毎週放送しているインターネット番組 #ブループリント の9月3日放送分の準備のためにつくったメモを再構成したものだ。そしてこの文章は僕のオンラインサロン「PLANETSCLUB」で先行公開している。こうした放送の下準備のメモのような文章は、よくクラブ限定のFacebookに投稿しているので、もし興味があったら(と、いうか僕らの活動を面白いと思って、支援してくれる人がいたら)ぜひ、クラブにも加入して情報発信を支援して欲しい。 さて、今日のお題は「N国」だ。この文章を書いている9月9日の夕方、NHKから国民を守る党、通称「N国」の党首の立花孝志が脅迫の疑いで警察に事情聴取されるというニュースが飛び込んできた。僕は思わず、この記事の内容を最新の状況に合わせて更新しないといけないと考えたが、すぐにその必要はないことに気づいた。なぜならば、この文章の趣旨は「N国

    「N国」とインターネットポピュリズムの現在|宇野常寛
    mmsuzuki
    mmsuzuki 2019/09/11
    “基本的人権など、民主主義の根幹に関わる部分は立憲主義的な立場を強化することで、(変な話だが)民主主義の暴走から守るという立場を取るしかないのではないか。”
  • 1