被災地での雇用調整助成金の活用 福島第一原子力発電所の30キロ圏内で、国の指示を受けて休業せざるをえなくなった企業が、従業員の休業手当の一部を国が助成する「雇用調整助成金」をもらうことができず、不公平感を募らせている。厚生労働省が助成対象を「経済上の理由」による休業に限り、原発周辺のように法令で制限を受けた場合を除いているためだ。 雇用調整助成金は、不況など経済上の理由で仕事が減った企業に雇用を維持させるため、国が休業手当の最大8割を助成する制度。福島第一原発から北に25キロ余の福島県南相馬市原町区の社会保険労務士、草野英夫さんのもとには、「なぜ助成金が出ないのか」という相談が相次いでいる。 近くの建設会社社長は「10人の従業員を何とかしてやりたいが、結局クビにするしかない」と憤った。震災後の津波で発電所の点検工事が止まり休ませざるを得ない。そこでハローワークで助成金を申請しようとし