今回は、出版社別陳列の長所と短所について検証してみましょう。まず短所から。 1 同じ作家の本があちこちにちらばってしまう これは大きな欠点ですね。やはり司馬遼太郎の「燃えよ剣」と「新選組血風録」は隣に並んでいるべきですし、小野不由美の「魔性の子」と「十二国記」は隣に並んでいてほしい。人気作家であればあるほど複数の版元から著作が刊行されるので、そういうケースが増えていきます。宮部みゆきなんて揃えようと思ったら、新潮文庫に角川文庫、講談社文庫に光文社文庫に集英社文庫に文春文庫に中公に朝日にPHPの棚まで見ないとあかんわけですから、これはファンにとってはめちゃくちゃ理不尽です。「模倣犯」が文庫化されたら、小学館文庫まで見ないといけません。何がどの出版社で文庫化されてるか、なんて全部把握している人は一般のお客様には少ないわけですから、売場としては不親切ですよ。これは確かに。 2 大手出版社の文庫が