エリック・ゼムールとエマニュエル・トッド。どちらも出版の世界で成功を手にし、激しい論争を引き起こしたり、白熱するテレビの討論番組も経験したりしてきた。 フランスを代表する知識人の論客であり、同時に物議をかもす存在であるところも共通する。EU建設への批判では同じ立場だったふたりだが、イスラム教やアイデンティティの問題に関しては対立する。 ふたりが対談したのは、トッドの『我々はどこからきて、今どこにいるのか?』(2017年刊、邦訳は文藝春秋より刊行予定)という人類史をたどる壮大な著作の刊行が機だった。 両者の意見は、「エリートの裏切り」と「フランスの分断」については一致する。だが、トッドがフランスの分断の原因を経済主権の喪失にあると論じるのに対し、ゼムールは移民による人口構造の激変が原因だと語る。 このふたりの活発で実り多い前代未聞の討論が「フィガロ」の紙面で繰り広げられた──。 中国はフェミ