たぶん、この文を読んでいる人間の多くは気づかないだろう。でもこれは一年以上前から考えていたことなのだ。もちろん妻や娘には内緒である。医者にも友人にも。
正直に言うと、この記事をどう書いたものか迷っている。事件としては既に一区切りついてしまって、特にできること、呼びかけられることはない。また私が政治や法律にてんで疎いこともあり、そういった方面のアプローチもできない。ただ、英語圏SFの紹介を拙いながらも行っている人間として、この一件は書いておかねばならない気がするのである。 カナダにピーター・ワッツというSF作家がいる。本業は海洋学者であり、そのキャリアからくる科学的に裏打ちされた緻密な設定とテクノロジーによって人間のたがが外れたディストピア的世界観、そうした世界での倫理など、複雑で陰鬱なテーマを描く現代有数のハードSFの書き手として高い評価を受けている。代表作である長編 Blindsight はちょうど日本で開催された2007年のSF大会でヒューゴー賞にノミネートされた*1。ファーストコンタクトという古典的テーマと意識や知性の本質といった現
SF作家・山本弘のblogです。小説・アニメ・特撮・マンガから時事問題にいたるまで、いろんな話題を取り上げていきます。 HPはこちら。 山本弘のSF秘密基地 http://kokorohaitsumo15sai.la.coocan.jp/ 9月11日である。 ヒストリーチャンネルでもディカバリーチャンネルでも、いろんな特別番組をやっていて、もう何本も見た。火災に追われて人が窓から落ちてくる場面は、何度見ても胸が痛む。ビルの崩壊によって生じた大量の粉塵に追われ、人々が必死に逃げまどう姿は恐ろしい。 もう9年も前なので、細部を忘れかけている人も多いだろう。しかし、あの悲惨な事件の記憶を風化させないためにも、こういう番組は定期的に見返すべきだと思うのだ。 さて、911と言えば陰謀論。あの事件はアメリカ政府による自作自演だとか、ワールドトレードセンターには最初から爆薬が仕掛けられていて爆破解体され
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