「もしこれで有罪になってしまうと大変なことになります」 通称赤ちゃんポスト(こうのとりのゆりかご)の運営でも全国的に知られる慈恵病院(熊本市西区)の蓮田健院長(産婦人科医)が、とある裁判後の会見で強い危機感を示した。 慈恵病院では24時間のSOS相談事業などを通じて毎年6~7000件の妊娠・出産相談を受けており、相談は全国の女性やその関係者から寄せられるという。 「今回の判決は無罪でないと困ります」 「(有罪判決が逆に)犯罪を誘発してしまう可能性を心配しています」 「今回有罪になったら、私たちも(電話相談などの)対応をガラッと変えないといけないので」 会見でのこうした言葉とともに、蓮田院長が大きな懸念を示したその裁判を、私も傍聴していた。 熊本地裁 2021年6月21日月曜日。13時半からベトナム人技能実習生のレー・ティ・トゥイ・リンさんを被告人とする刑事裁判の第一回公判が開かれた。場所は
女性が性被害を訴えた事件で、被告人が無罪となる1審判決が4件相次いで報じられたことで、裁判所に対する批判が挙がっている。性暴力の問題に取り組む女性らが集まり、無罪判決に抗議し、「司法を変えていこう」「裁判官に人権教育と性教育を!」などと訴えるスタンディングデモも行われた。 とりわけ、19歳の娘に対する性行為が準強制性交罪に問われた父親が無罪となった名古屋地裁岡崎支部の判決について、批判が大きい。ネット上では「バカ裁判官」「悪魔」「鬼畜」などと裁判長への罵詈雑言が飛び、罷免を求める署名まで行われている。週刊新潮4月18日号は、「娘を性のはけ口にした父が無罪というバカ判決『裁判長』」と題する批判記事で、裁判長の大きな写真を掲載した。 私が目にした限り、批判には検察官についての論評は見当たらなかった。判決文を読んだ弁護士による批判記事でも、本件についての検察官の捜査・立証活動については言及がない
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