ゴールデンタイム
「選択の日曜日」 人生はいつだって選択の連続で、自分自身が選び取った結果の先に、未来というものは続いていく。 だから多田万里が、今ここに息を切らして一人立ち竦み、 (やばい……どうしよう……) などと焦っているのも、自分が選んだその結果だ。 秋の東京、とある日曜日。銀色に鈍る曇り空の昼下がり。 まっすぐ進むか、左へ行くか、右へ行くか。万里が選べる道は三方向にあって、正解は一つだけ。突っ立ったままで交差点をぐるりと見渡し、迷ってしばし考える。 気が付けば、右手には割れたクッキーの欠片を掴んだままで来てしまった。路上に捨てるわけにもいかず、こう息が上がっていては食ってしまうこともできず、手の中にガシャガシャと掴んだまま、次の一歩を決めかねる。 さあ、選ばないといけない。どちらへ行くべきなのだろうか。 多分、この出来事自体はとても些細なことなのだ。それはわかっている。なのに迷って
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