筆者がプリンストンで見た素顔 今年のノーベル経済学賞に、FRB(米国の中央銀行・連邦準備制度理事会)元議長のベン・バーナンキ氏、ダグラス・ダイヤモンド氏(シカゴ大学栄誉教授)、フィリップ・ディビッグ氏(ワシントン大学教授)の3人が選ばれた。 バーナンキの受賞理由は、1930年代の大恐慌の原因を探った研究成果──銀行の経営危機が金融危機を深刻化させる──が、リーマンショックやコロナ・パンデミック時の政策運営でも活かされたというものだ。ダイアモンドとディビッグは、銀行は社会にとって重要だがその脆弱性こそ、バーナンキ氏の大恐慌研究に大いに関係しているとされている。 バーナンキは、1975年にハーバード大学を最優等で卒業、'79年マサチューセッツ工科大学で博士号を取得し、'85年からプリンストン大学教授になっている。彼はもっとも尊敬を受けていた経済学者の一人であり、経済学部長の要職をこなしながら教