東京の仕事に比例して、関西の仕事も増えていった。大阪からの帰りは京都で途中下車するようになった。古都の情緒が好きだったのだが、別の理由もできた。時子という京女と出会ったのである。彼女の親戚には映画関係者が多く、大映のスターだった市川雷蔵さんに「女優をやらないか」と誘われたこともあるそうだ。僕らが知り合った場所も太秦の撮影所だった。夜行列車で帰るときは、京都駅まで見送りに来てくれた。「服部さん
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