■優秀な人 育て上げるシステム 本当のエリートがどこにいるのか分からなくなってしまった最近の日本では、飛びつきたくなるようなタイトルの本である。本書はスタンフォード大学への留学経験に基づいて、著者が幅広い観点からエリートの国際比較を試みたものである。やはり米国のエリートは優秀だが、米国人の能力が格段に優れているからではなく、米国にある程度以上の能力を持った人を立派な知的エリートに育て上げるシステムがあるからだという。 そのポイントは大学における教育にあり、大量のインプットを学生に与え、プレゼンの仕方も含めて徹底的に鍛え上げる。評者の経験でも米国の大学、大学院の授業は日本に比べて格段に体系的で、そこを通過することによって学生はその分野の専門家になることができる。学生も必死に勉強する。エリートの重要性は痛いほど認識されていて、優秀な学生には先生がお世辞を言ってまで自信をつけ一人前に育てようとす