総務省は高齢者や障害者が情報通信技術(ICT)を使って効率的に仕事や生活ができるよう包括的に支援する政策パッケージを2019年度に打ち出す。障害者の個性に応じて仕事を割り振る人工知能(AI)や、職場や街中のバリアフリー情報の公開などを想定。野田聖子総務相が近く立ち上げる有識者懇談会で具体策を詰める。個別の施策の費用は19年度予算の概算要求に盛り込む。例えばAIで工場の複雑な生産工程を細分化し、
終戦時の混乱で旧満州(現中国東北部)などに取り残され、日中国交回復後に永住帰国した残留孤児らを対象に、厚生労働省は昨年度から介護施設に出向いて中国語で話し相手になる「語りかけボランティア訪問」を始めた。残留孤児の平均年齢は76歳(2015年度)と高齢化が進んでおり、介護施設で言葉の壁や生活習慣の違いから孤立感を深める人も増えている。こうした人を訪問して不安や負担を軽減し、介護サービスを利用しやすくするのが狙いだ。 8月7日昼ごろ、福岡市博多区のデイサービス施設で、中葉(なかば)日出子さん(75)は語りかけボランティアの大石れい子さん(68)の訪問に笑顔を見せ、「身内のよう。うれしい」と中国語で出迎えた。
――2018年7月1日付でSOMPOホールディングス傘下の4社が合併した。 先行して今年4月1日に地域本部制を導入した。地域本部制にしたというのは、東日本本部、首都圏本部、東京本部、西日本本部の4本部制を取り入れ、介護施設やサービスなどの業態にかかわらず、エリアで担当するという体制に変えたということだ。 社内には介護付き有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、小規模多機能型居宅介護、訪問介護、デイサービス、グループホームなど異なる業態があったが、エリア単位にするということは、つまり、社内の縦割りを解消するということ。地域ごとに部長とスーパーバイザー(SV)を立てる。SVは自分のエリアで1人5~7ヵ所の担当を持つ。地域単位で運営する仕組みは、介護業界で初めての試みだ。 ――縦割りを解消する狙いは何か。 まずは消費者のニーズがあるため。例えば、練馬区に住んでいて自分の親の介護を考えている人
長野県は10日、高齢者や障害者をはじめ誰でも旅行を楽しめるユニバーサルツーリズムを県内に普及させるため、第1回長野県ユニバーサルツーリズム推進会議を県庁で開いた。今後、関係団体の連携を強化し、ユニバーサルツーリズムを支える人材育成や機器の普及、モデルルートの開設などを官民で進めていく。会議には市町村や観光事業者、交通事業者、福祉団体などの125人が参加。都会のようなバリアフリー設備の偏重でなく
成田空港は2018年6月28日、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、日本の表玄関の役割とともに、将来を見据えた機能強化や利便性・快適性向上につなげる基本方針および具体的な取り組みを明らかにした。 成田空港は2020年東京オリンピック・パラリンピックに向け、保安検査体制の強化や臨時ターミナルの整備、ユニバーサルデザインの充実、おもてなしの空間演出などの各種施策を行う。 臨時ターミナル整備やユニバーサルデザインの拡充 保安検査体制では、爆発物の自動検知機能を有し、3D映像で全方向からモニター確認が可能なCT(Computed Tomography:コンピュータ断層撮影)型のX線検査装置を2019年度中に導入し、2019年9月末~2020年3月に順次運用を開始する。設置台数は、第1ターミナルの北ウイングに1台と南ウイングに2台。第2ターミナルには3台、第3ターミナルには1
大阪府北部を震源とする最大震度6弱の地震で、法律に基づく要介護者や障害者ら災害時に支援が必要な「避難行動要支援者」の名簿を使って安否確認を進めた自治体が、20日現在で被災13市町のうち8市町にとどまることが朝日新聞の調べで分かった。3市は安否確認自体を実施せず、自治体で対応に差が出ていた。 国は「災害弱者」が多く亡くなった東日本大震災を教訓に改正した災害対策基本法で、要支援者の名簿作成を市区町村に義務づけた。災害時は名簿を活用した安否確認の実施も求めている。取材によると、13市町すべてで計約27万人分の名簿が作成されていた。 今回の地震を受けて内閣府は18日から、災害救助法が適用された府内13市町に安否確認するよう周知。ただ名簿を元に安否確認を進めたのは、大阪、豊中、守口、茨木、寝屋川、四條畷、交野の各市と島本町の計8市町だった。高槻、摂津両市は名簿は使わず障害福祉事業所への連絡や独自の独
「シリコンバレーで、若手3名が一つ屋根の下で暮らし、デザイン思考を使って、今までにない全く新しい次世代モビリティを開発する」 スズキの特別プロジェクト公募に自ら志願し、選抜された3名はデザイン思考のフレームワークに沿って、街頭インタビューを敢行。その結果をもとに、開発を進めていくこととなった。(奮闘記前編はこちら) ここで一度、デザイン思考について触れておきたい。 デザイン思考のプロセスは下記の5つのステップで構成。それぞれのステップを超高速で行ったり来たりしながら、何度も繰り返していく。 デザイン思考に必要な5つのステップ 1. 共感 ユーザーの感情、考え、態度を能動的に擬似体験し、彼らに共感する 2. 問題定義 共感の結果、ユーザー本人も気づいていない価値観を推測し、問題の本質を定義する 3. 発想 特定した問題に対して、多種多様な解決策を発想した上で、最後に取捨選択を行う 4. 試作
介護を必要とする高齢者の中には、日本語以外の言語を話す人や、さまざまな歴史的背景を持つ人がいます。そうした高齢者のニーズに応えようという取り組みも始まっています。中国残留邦人の帰国者や在日コリアン向けの介護事業所の活動を紹介します。 埼玉県所沢市の訪問介護事業所「虹」は、利用者15人のうち9人が帰国した中国残留邦人だ。スタッフ9人のうち7人が中国語を話す。 ケアマネジャーで介護福祉士の上條真理子さん(39)がこの春、要介護5の木村和子さん(77)の自宅を訪れた。認知症が出始めた夫も、訪問介護を利用する。上條さんは木村さんが薬をちゃんと飲んでいるかを確かめ、その後ポータブルトイレを片付けた。やりとりはすべて中国語だ。 夫妻はほとんど日本語が話せない。木村さんは戦後、中国で孤児となってとどまった残留孤児で、現地で中国人の夫と結婚。1988年に帰国した。 昨年、木村さんは骨折して介護施設に入った
国土交通省は、交通事業者に一定水準以上の接遇を確保し、高齢者や障害者などの移動円滑化を推進するため「交通事業者向け接遇ガイドライン」を作成した。 2017年2月に決定された「ユニバーサルデザイン2020行動計画」では、東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向けて、政府全体で「心のバリアフリー」に取り組むこととされている。 国土交通省ではこれを踏まえ、高齢者や障害者に対する交通事業者による統一された一定水準の接遇を確保するため、交通モードごとの特性や様々な障害の特性に対応した「交通事業者向け接遇ガイドライン」を作成した。 ガイドラインでは、接遇の前提として身に付けるべき基本的な心構えや「障害の社会モデル」の理解など示している。接遇対象者ごとに特性・困りごとについて整理するとともに、基本的な接遇方法や、緊急時における配慮事項と具体の応対について記載している。ガイドラインに基づく教育内容を検
本庄市は6月1日から、全国初の成年後見制度に特化した電話相談「後見ほっとライン」を開設、運用を始める。制度を熟知した専門のオペレーターが成年後見の必要性の査定などきめ細かく対応することで、気軽に相談しやすいような環境を整える。市は相談実績などを踏まえ、来年度以降の本格実施を検討する。 この事業は市と綜合警備保障、一般社団法人「後見の杜(もり)」が協働で実施。綜合警備保障などは群馬県の富岡甘楽圏域(富岡市など4市町村)でも同時にスタートする。 成年後見制度は、認知症や知的障害などで判断能力が不十分な人の財産管理などを弁護士などが後見人として支援する。ただ、制度自体が分かりにくく、個人情報も絡むことから、市がこれまで実施してきた窓口での対面式の相談件数は年10件程度にとどまっていた。 後見ほっとラインは、オペレーターが成年後見制度を熟知しており、制度の説明や成年後見の必要性に加え、金銭トラブル
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