約70年の歴史を持つ大阪府立視覚支援学校高等部(大阪市住吉区)の音楽科は3月9日、3年の辻本実里(みさと)さん(18)の卒業を最後に幕を閉じる。視覚障害がある生徒のための音楽教育機関として、これまで100人以上を送り出してきたが、少子化や就職難から同科の入学者は減少。過去6年間で2人にとどまり、府は来年度の募集をとりやめた。最後の生徒となった辻本さんは5日のコンサートで、感謝の思いをソプラノの歌声に込める。(嶋田知加子) ◇ ◆夢はプロの声楽家 卒業式を目前に控えた3月2日、同校の小・中学部と高等部本科音楽科が合同で行う最後の音楽交流授業が音楽室で行われた。 辻本さんは「早春賦(ふ)」「野ばら」「歌よありがとう」など5曲を歌った。じっと聞き入った児童・生徒ら約40人を前に、田下(たした)恵子教諭は「こんなすばらしい歌が聴けるのは幸せなこと。この歌声を覚えていてください」と語りかけた。 辻本