筆者は2009年、高校を中退した若者たちの貧困の実態、とりわけ日本社会の低層に沈んでいる若者たちの嘆きや悲しみ、助けを求める声を、彼らに代わって社会に伝えるために、『ドキュメント高校中退』(ちくま新書)を書いた。 それから3年たったが、全国の生活保護の担当者の間ではまだ、「貧困の連鎖の原因のひとつに、高校中退の問題がある」という指摘があり、いまだに「中退」が若者の貧困にとって大きな要因の一つになっている事態は変わらない。 生活保護世帯や貧困層の生徒で、せっかく高校に進学できても、中退するケースは多い。関西のある市のケースワーカーも「あまりにあっさりと中退してしまうケースがある。中退すればその分、就職もしにくくなるにもかかわらず、誰にも相談せず自分で判断してしまう傾向がある」と指摘する。(産経新聞2012.9.6) 最近、筆者が出会った高校を中退した若者たちを紹介しながら、なぜ、彼らが「あっ