成層圏気球 どこまでコントロールできるのか? スパイ目的かどうかの議論の前に、基本知識を知って欲しい 山内正敏 地球太陽系科学者、スウェーデン国立スペース物理研究所研究員 米国の上空を横断した中国の気球を巡って、米中の対応が加熱し、ブリンケン米国務長官の訪中が直前になって延期される事態となった。どんな理由であれ、領空に気球が入る可能性があるなら、事前の了承を取るのが礼儀だし、少なくとも前もって通告すべきだろう。だが、大西洋に抜けた直後の撃墜など、10年前では有り得なかった米国の反応も気になる。 気球が中国の主張するように気象観測目的だったのか、それとも米国の主張するように軍事目的(なかでもスパイ目的)だったかどうかは現時点(本稿執筆の2023年2月11日)では分からない。しかし、関連報道を見ると軍事・緊張視点の論評ばかりで、空気の薄い成層圏仕様の特別な気球「成層圏気球」に関する基本情報が完
米軍機が撃墜した中国偵察気球に通信監視の能力があることが分かったという/Petty Officer 1st Class Tyler Thompson/US Navy (CNN) バイデン米政権は、米戦闘機が4日に撃墜した中国の偵察気球は通信を監視できる電子機器を用いた偵察技術を備えていたと断定した。国務省高官が9日、明らかにした。 撃墜された中国の偵察気球は「信号情報の収集が可能」で、「5大陸40カ国以上」の上空を飛行してきた偵察気球群の一部だった。同高官によると、気球は中国人民解放軍(PLA)とつながりのあるメーカーと共に開発された「偵察を行うための中国の気球群の一部」だったという。 同高官は、気球の米領空内の通過に対する制裁を米国が検討していることを示唆し、「気球の米領空への侵入を支援した中国人民解放軍とつながっている中国企業に対する措置も模索するだろう」と指摘した。米領空への侵入につ
【北京=三塚聖平】米軍が中国の気球を撃墜したことを巡り、中国側は、米国の政界やメディアが気球飛来を政治問題化して「過剰反応した」との主張を強めている。 中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報の胡錫進(こしゃくしん)前編集長は5日、交流サイト(SNS)で、米国の世論と政界が気球問題を「政治化」したと強調、「米国が不測の事態に対し、事実に基づいて問題を処理する能力がないことを明らかにした」と批判した。 こうした主張の背景にあるのは、米側に責任を転嫁しようとする思惑だけではない。ブリンケン米国務長官の訪中が延期されただけでなく、気球が撃墜されたことで、メンツを失った形の習近平政権としては国内向けに強い対外姿勢を見せる必要もあるようだ。 一方で、中国軍が気球を使用したり、気球の研究を進めたりしているとみられることはこれまでに伝えられていた。台湾メディアによると、昨年2月には中国軍が放ったとみられる
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