ベイスターズ好きに「tvkの吉井祥博アナ」を知らない人はいない。テレビ神奈川に転籍してすぐの1996年(平8)以来、横浜スタジアムで実況を続けている。 昨年5月31日の楽天戦。いつものようにハマスタ2階のボックス席で実況していた吉井は、山下幸輝の延長サヨナラ打に涙、しばし絶句した。朝の横須賀に平塚のナイター。ファームの練習や試合にも足しげく通って取材している。努力を知っていた。自然と出た涙は、用意していたどんな言葉より雄弁にファンの思いを代弁し、評価を不動のものとした。「現実には勝てない。仕事を続けていくうち、自然とにじみ出るものが大切と分かったんです」。 横浜スタジアムの放送ブースで笑顔を見せる吉井アナウンサー いくつかの決めごとがある。「継投とは、ゲーム中にベンチが打った最善策。失敗の批判は絶対にしない」「グラウンドに立っているすべての人に敬意を払う」「『ディス ゲーム』。その日の試合