2024年本屋大賞を受賞して話題となっている宮島未奈さんの小説『成瀬は天下を取りにいく』(新潮社)。宮島さんのデビュー作でありながら、受賞した文学賞はトータルで14冠にも及ぶ。 この作品の主人公は、「成瀬あかり」という一風変わった中学生だ。地元唯一の百貨店が閉店するまでの1ヶ月毎日、ローカルニュースの中継に映り込むと宣言したかと思えば、唐突に幼なじみを巻き込んでM-1グランプリに挑戦、はたまた実験のために坊主頭にし、「200歳まで生きる」と堂々と宣言する少女である。小説家の三浦しをんさんをはじめ、辻村深月さん、漫画家の東村アキコさん、Aマッソ・加納愛子さんなど著名人のファンも多い作品だ。 作中には成瀬がM-1に挑戦するきっかけとして、実在のお笑い芸人が登場している。第15回M-1グランプリ王者のミルクボーイ(内海崇さん、駒場孝さん)だ。内海さんは「あまりにM-1のくだりがリアル」だったため