東京都立の産院のミスで出生直後に別の新生児と取り違えられた都内の男性(63)が、都を相手取り、実親と連絡がとれるかなどの調整や調査を求める訴訟を5日、東京地裁に起こした。都は取り違えを認めた判決確定後も、プライバシーを理由に実親を特定するための調査を拒んでいるといい、男性は「出自を知る権利」の侵害にあたると主張している。 原告の江蔵智(えぐらさとし)さんは1958年4月、都立墨田産院(廃止)で生まれた。母親が偶然行った血液検査で、血縁関係ではあり得ない血液型の組み合わせだとわかり、DNA鑑定で「親子関係にない」との結果が出た。「頭が真っ白になった」。46歳のときだった。 裁判で都に勝訴「産院の重大な過失」 福岡市で暮らしていた2004年に、「生みの親捜しのきっかけにしたい」と裁判を提起。05年の東京地裁判決、06年の東京高裁判決は、いずれも産院での出生時に取り違えがあったことを認め、高裁判