この語は、「不立文字」「教外別伝」と同じように「禅」の特性を表わす代表的な語です。直指人心と見性成仏は、それぞれ独立した語として用いられることもありますが、むしろ、「直指人心、見性成仏」と一緒に関連して考えた方がわかり易いと思います。 「直指」とは、直ちに指すこと。文字、言葉などの他の方法によらず、直接的に指し示すことをいいます。「人心」とは、感情的な「心」ではなく、自分の心の奥底に存在する、仏になる可能性ともいうべき本心・本性・仏心・仏性といわれるものです。ですから「直指人心」とは、自分の奥底に秘在する心を凝視して、本当の自分、すなわち仏心、仏性を直接端的にしっかり把握することをいうわけです。 「見性」の見とは、ただ物を対象的に見るのではなく、対象そのものになり切る、一体、一枚になることです。性とは、直指人心、すなわち、仏心仏性を意味します。「成仏」とは、世間でいわれるように死ぬことでは