米国では数年前から、経営者がよく口にするキーワードがある。「デジタルトランスフォーメーション(DX)」だ。日本語にするなら「デジタルによるビジネス構造の変革」と訳すのが適当だろう。以前、ビジネストランスフォーメーション(ビジネス構造の変革)という言葉が流行ったが、今ではDXに完全に取って代わられた。 米国と異なり、日本でDXはほとんど語られることはなかった。ビジネスモデルの変革も志向するだけに、日本企業には「大きすぎる言葉」だったのだろう。デジタル関連の取り組みに熱心な企業の経営者にも刺さらないからか、ITベンダーもIoT(インターネット・オブ・シングズ)や人工知能(AI)などデジタル関連の発表でも、DXを語ることは少なかった。 ところが最近、風向きが少し変わったようだ。先日、大企業のCIO(最高情報責任者)からシステム子会社のトップに転じた人の話を聞いていると、話の中にDXが頻繁に出てき