丁寧に包まれた竹皮をめくると、透き通った琥珀色が美しい板状のお菓子が姿をあらわす。今回ご紹介するのは山形の伝統的なお菓子『乃し梅』です。自分の名前のせいもあってか、梅と名前がつくものには愛着を持ってしまい、ついつい手にとってしまう。今回もそんな巡り合わせで見つけた逸品です。 山形はもともと紅花の生産が盛んで、紅花から染料をとる際に梅の酸が必要だったために、梅の栽培も盛んに行われ、梅を使ったお菓子が名産となったようです。その歴史は古く、江戸時代に山形藩主の典医だった小林玄端が長崎に留学中、中国人から伝授された梅を原料とした秘伝の気付け薬が起源とされています。梅肉にはクエン酸が豊富に含まれているため、殺菌効果や疲労回復に効果があるとされています。そういった健康面での効用もあって、現在に至るまで親しまれてきたのではないでしょうか。 梅のお菓子というと甘さが強すぎるものや梅の風味が強すぎるものが多