スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟によって、バルト海のほぼ全域が「NATOの海」と化し、バルト三国の防衛・抑止態勢も大幅に強化される見通しとなった。昨年のフィンランドに続くスウェーデンの加盟は、ウクライナ侵略戦争がもたらした地政学的反作用であり、ロシアのプーチン大統領には手痛いしっぺ返しとなりそうだ。 北欧4国のそろい踏み スウェーデンとフィンランドは、冷戦終結後も長らく「中立国」の立場を貫いてきた。だが、ウクライナ侵攻開始2カ月後の2022年5月、「ロシアは一変した」、「われわれには(NATOの)集団的自衛が必要になった」として、そろって加盟申請に踏み切った。既加盟のノルウェー、デンマークに両国を加えた北欧4国がそろったことで、NATOは北欧~北極圏一帯を防衛する切れ目のない態勢を手にしたことになる。 欧州の安全保障環境を大きく変える歴史的決定というだけではない。とりわけ重要