兼島さんは本土ではほぼ無名だが、沖縄では地元の文芸関係の賞を受けるなど頭角を現している。KAATは沖縄の節目の年に、地元の若者の視点を取り上げようと、兼島さんを抜てきした。 題名にある「ライカム」とは、本島中部に戦後置かれた琉球米軍司令部(Ryukyu Command Headquarters)の略称で、今は大型商業施設「イオンモール沖縄ライカム」の通称。高齢者には米統治時の重く苦い思い出で、若者には日常のにぎわいの場だ。沖縄の光と影の象徴として、ライカムの小ぎれいな店舗部分とバックヤードを本土と沖縄の関係になぞらえた。 物語は、米統治下の1964年に沖縄で実際にあった米兵殺傷事件を取材する現代の雑誌記者の視点で描く。犯人とされた当時の沖縄の若者らと現代の沖縄の若者が、時代を超えて出会う構成。事件で若者が直面した米国の圧力や差別、半世紀たっても重い基地負担や県民の分断など、果ての見通せぬ沖