◆◆◆ 4時間の生放送前に「チャコ」へ チャコは大きな仕事の夕食などでもよく使われた。当時、千駄ヶ谷には10人以上の人間が入れる店というのがあまりなかった。それにでかいプロジェクトならば予算もあるからステーキくらい食べられるということもある。 一度、NHKの仕事で20人くらいで夕食を食べたことがある。その日は、A級順位戦ラストの日で、俗に「将棋界の一番長い日」と言われる。これは名コピーで、将棋の世界でもっとも重要な一日はこの日なのだ。 棋士の出演者は、羽生、先崎、矢内理絵子だった。何年前だったかは忘れた。羽生が名人で森内俊之が挑戦した年である。この3人で朝2時間、夕方2時間、10時から深夜2時までの合計8時間という、狂ったような生放送を捌いたのである。とにもかくにも無茶苦茶にキツイ仕事だった。 先崎学九段 ©文藝春秋 6時までの夕方の放送が終わり、我々3人は死んでいた。矢内は聞き手だが司会