「日本の人工知能学会には、自律型致死性兵器システム(LAWS)の縮小・削減の可能性に関して交渉を開始する8月、11月の国連会議を支持していただきたい――」 2017年5月24日、愛知県で開催された人工知能学会全国大会の公開討論セッション。先端技術の安全性を研究する「Future of Life Institute(FLI)」の リチャード・マラー氏によるビデオメッセージに、会場は静まりかえった。 人工知能(AI)と倫理を語る際、世界で頻繁に議論される一方、日本ではほとんど話題にならないテーマがある。AIを含む自律型システム(autonomous systems)の軍事利用という問題だ。 海外の討議はどこまで進んでいるのか。日本が加わる余地があるのか。AIの軍事利用を巡る議論の動向に迫る。 「アシロマAI原則」で軍拡競争の抑止をうたう FLIは、起業家のイーロン・マスク氏や宇宙物理学者のステ