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ブックマーク / blog.tatsuru.com (10)

  • 選挙結果について - 内田樹の研究室

    総選挙の結果が出て、自民党歴史的大勝を収めた。 選挙結果については大筋では予想通りということだが、ここまでの圧勝は徴候的である。 小選挙区制は得票率と議席率が同期しない制度であり、わずかな「風向き」の変化で、ドミノ倒しのように一政党が地滑り的勝利を収めるように制度設計されている。 アメリカの大統領選挙人制度と「地滑り選好性」において発想が似ている。 たしかに得票率と議席率が完全に相関していたら、議員構成はごく緩慢にしか変化しないはずである。 安定的であることは悪くはないが、そうなると万年与党はその権益にあぐらをかき、万年野党は政権構想をまじめに考えなくなる。 それよりは「わずかな入力差が大きな出力差となる」複雑系モデルの方が、有権者の変化を反映しやすいし、なにより政治家にひりひりした緊張感を与えることができる。 定常的であるより、頻繁に揺れ動く「不安定な政体」の方が「生命」の態に近いの

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    myrmecoleon 2012/12/17
    「今回の選挙結果から諸外国が日本について改めて確信したのは「あそこは腰の決まらない国だ」ということである。」
  • 非実在有害図書 - 内田樹の研究室

    東京都青少年健全育成条例について基礎ゼミの発表がある。 「表現に対する法的規制」というものについて私は原理的に反対である。 ふつうは「表現の自由」という大義名分が立てられるけれど、それ以前に、私はここで言われる「有害な表現」という概念そのものがうまく理解できないからである。 まず原理的なことを確認しておきたい。 それは表現そのものに「有害性」というものはないということである。 それ自体有害であるような表現というものはこの世に存在しない。 マリアナ海溝の奥底の岩や、ゴビ砂漠の砂丘に、あるいは何光年か地球から隔たった星の洞窟の壁にどのようなエロティックな図画が描かれていようと、どれほど残酷な描写が刻まれていようと、それはいかなる有害性も発揮することができない。 「有害」なのはモノではなく、「有害な行為」をなす人間だからである。 全米ライフル協会は「銃が人を殺すのではない、人が人を殺すのだ」と主

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    myrmecoleon 2010/12/15
    「間違いなく、有害性というのは人間を媒介とすることによってしか物質化しない。」
  • メディアの病 - 内田樹の研究室

    怒るまいと思っても、つい。 今朝の毎日新聞の論説委員がコラムでが大学院教育の問題点について指摘していた。 90年代からの大学院重点化政策についての批判である。 「『世界的水準の教育研究の推進』をうたい文句に大学院定員が拡大されたが、大量に誕生した博士たちを受け入れるポストは用意されなかった。路頭に迷いアルバイトでいつなぐフリーター博士なる言葉まで生まれた。」 この現実認識はその通りである。 国策として導入された大学院重点化である。そのアウトカムについても国は責任をとるべきだろう。 責任というと言葉が強すぎるなら、せめて、「定員増には、受け皿になる職がないという『リスク』も帯同しております」ということを大学院進学志望者たちに事前にアナウンスしておくくらいの「良心」はあってもよかったのではないかと思う。 それはよい。 問題はその次の段落である。 意味不明なのである。 「何年か前、さる大学に新

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    myrmecoleon 2010/10/26
    「「就活の開始時期が早過ぎる」というのは誰がどう考えても大学の責任ではない。雇用する側の責任である。」まったくだ。雇用側の要望の結果だよな。
  • 追悼レヴィ=ストロース - 内田樹の研究室

    20世紀フランスを代表する思想家で社会人類学者のクロード・レヴィ=ストロースが10月30日、死去した。100歳。 第二次大戦中に亡命した米国で構造言語学を導入した新しい人類学の方法を着想、戦後フランスで実存主義と並ぶ思想的流行となった構造主義思想を開花させた。「未開社会」にも独自に発展した秩序や構造が見いだせることを主張し、西洋中心主義の抜的な見直しを図ったことが最大の功績とされる。 サルコジ大統領は3日の声明で「あらゆる時代を通じて最も偉大な民族学者であり、疲れを知らない人文主義者だった」と哀悼の意を表した。 1908年11月28日、ブリュッセルのユダヤ人家庭に生まれた。パリ大学で法学、哲学を学び、高校教師を務めた後、35年から3年間、サンパウロ大学教授としてインディオ社会を調査。41〜44年にナチスの迫害を逃れて米国に亡命、49年の論文「親族の基構造」で構造人類学を樹立した。 自伝

  • Googleとの和解 - 内田樹の研究室

    Googleアメリカ作家組合のフェアユースと著作権をめぐる裁判が和解した結果、ベルヌ条約に参加している日の著作権者たちも年5月5日までの期限付きで、コピーライトにかかわる選択をしなければならないことになった。 和解条件によると、2009年1月5日以前に出版された書籍については、 (1)著作権者はGoogleに対して、著作物の利用を許諾するかしないか、許諾する場合、どの程度かを決める権利をもつ (2)Googleの電子的書籍データベースの利用から生じる売り上げ、書籍へのオンラインアクセス、広告収入その他の商業的利用から生じる売り上げの63%を(経費控除後)著作権者は受け取る その代償としてGoogleは著作物の表示使用の権利を確保し、データベースへのアクセス権を(個人には有料で、公共図書館教育機関には無料で)頒布することができる。 ただし、プレビューとして書籍の最大20%は無償で閲

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    myrmecoleon 2009/03/23
    「「ちょっと思いついたことがあるので、誰かに言っておきたい」というだけのことである」「「専業物書き」が職業的に成立しなくなると、読者は困る」
  • 日教組の ”影響” と言論の自由について - 内田樹の研究室

    テレビ政治討論番組で「日の丸・君が代」の強制について批判的に言及した人に向かって、別のスピーカーが「あんた、日人止めなさい」と怒鳴りつけた。 不思議なロジックである。 「日の丸・君が代」が国旗国歌であるということはいわゆる「国旗国歌法」によって9年前に定められた。 国法に疑義を唱える人間に向かって「だったら日人を止めろ」ということが適法的であるとするなら、国憲に疑義を唱える人間についてはどうなるのであろう。 たしか私たちの国の政権与党はひさしく「改憲」を党是として掲げいる。 憲法は片々たる法律とは違う上位規定である。 憲法98条にはこう記してある。 「この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない」 下位規定である法律に「疑義がある」という人に向かって「それなら日人を止めろ」と言うことができるなら、

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    myrmecoleon 2008/11/13
    「もし「日教組が日本の教育をダメにしたせいで、日本の子どもは全部ダメになった」というのが本当なら、その論を立てている当の本人が日教組によって知的に致命的に損なわれたはずである」ナイスパラドックス。
  • 不思議なアンケート - 内田樹の研究室

    少し前に某誌からアンケートがあった。 「人生の中で一度は読みたい未読の」というものである。 なかなか興味深い趣向である。 「読みたい」と思っていながら、なぜか手に取ることや読み通すことに抵抗が働くような種類の書物が存在する。 そのリストを示すことは、その人の無意識の心的傾向を知る上の重要な手がかりになるであろう。 私は『大菩薩峠』を選んだ。 白井喬二の『富士に立つ影』と並ぶ「めちゃめちゃ長い時代小説」の双璧であり、主人公の机竜之助がとちゅうでいなくなって、別の人が主人公になる(らしい。読んだことがないからよく知らないのである)。 故・今村仁司先生が激賞されていたので、ぜひいつかは読みたいものだと思っていたので、回答にこんな文章を寄稿した。 「一生に一度は読んでみたいと思いつつ読んでいない」という企画は、やってみたらあまり個性的なセレクションにならなかったのではないかと思う(編集者はちょ

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    myrmecoleon 2008/11/12
    「しかし、残念ながら、「52人の読書家」のほとんどはアンケートの「未読の」という限定条件を(故意か無意識にか)見落とした」「これは貴重な精神分析的=民族誌的資料」
  • 人を見る目 - 内田樹の研究室

    山形浩生さんが少し前にノーベル賞について、「ノーベル賞受賞者数を政策目標に使うような発想は、ぼくはゆがんでいると思う」と書いている。 「それは自分では評価できませんという無能ぶりを告白しているに等しい。だからぼくは日に必要なのは、ノーベル賞受賞者そのものより、研究や業績を王立科学アカデミー並みの見識と主張をもって評価できる人や組織の育成じゃないかと思うのだ。日でも、何かノーベル賞に比肩するような世界的な賞を作ってみてはどうだろうか?(…) もちろん・・・おそらく無理だろう。日ではそんな賞はすべて地位と経歴と学閥内の力関係で決まり、下馬評は事前にだだ漏れとなり、受賞目当てのロビイングが横行し、結果としてだれも見向きもしないつまらない賞になりはてるだろう。それが日の問題なのだ。」(「論点」、毎日新聞、10月31日) 山形さんの言うとおりだと私も思う。 私たちの社会のたいへん深刻な問題の

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    myrmecoleon 2008/11/11
    「Evidence based という考え方それ自体はむろん悪いことではない。けれども、evidence で基礎づけられないものは「存在しない」と信じ込むのは典型的な無知のかたちである」
  • 大学漫画を読む (内田樹の研究室)

    センター入試の二日目の理科の試験監督が当たっているので、日曜日だけど、冬空の下を昼から大学に出かける。 学長、入試部長、大学事務長、入学センター課長とご挨拶もそこそこに前期試験の志願者数をお訊きする。 前年比8%減。 学を第一志望にしている学生のうち相当数を秋季入試でもう取ってしまったので、一般入試の目減りがこの数字で収まったのは善戦といってよいであろう、と総括。 各大学の志願状況がネットで公開されているが、どこもたいへんな苦戦を強いられている。 ふつうに考えるとある大学の志願者が減った分だけ、他の大学の志願者が増えて、トータルではゼロサムになっているはずだが、そうではない。 大学全入時代であるから、「滑り止め」にいくつも大学を受ける必要がないのである。 以前は7、8校受験するのが当たり前であったが、今年は自信のある受験生は2,3校にまで絞り込んでいる。 だから、志願者実数は5%減だが、

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    myrmecoleon 2007/01/22
    この内容でなぜ「柳沢教授」が出ないのかが不思議だ。
  • 内田樹の研究室: 教育破壊はどこまで続くのか

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    myrmecoleon 2006/10/28
    「キーワードそのものを知らない事項については、検索することができない」これはよく思う。
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