先ごろ発表された第4回ハヤカワSFコンテストの受賞作は、大賞が該当作なし、優秀賞が吉田エン『世界の終わりの壁際で』と黒石迩守『ヒュレーの海』。両者はともに11月22日にハヤカワ文庫JAから刊行されたが、それと同時に電子書籍オリジナルで刊行されたのが、特別賞を受賞した草野原々の中篇『最後にして最初のアイドル』。 タイトルからわかるとおり、オラフ・ステープルドンの『最後にして最初の人類』(および『スターメイカー』)を下敷きにしたアイドル小説。 原型になったのは『ラブライブ!』二次創作小説「最後にして最初の矢澤」だというが、SFとして高く評価された。小川一水の選評にいわく、 「現代日本のアイドルを目指して死んだ少女みかが、グロテスクな怪物になって復活し、時空の果てる先までアイドル活動を続ける。美少女が聖なる怪物と化す話は昔からあるが、その人生を地球環境の崩壊や壮大な宇宙進出と一体化させて、とこと