アフォーダンス理論に基づく情報行動研究の可能性 ある日、旧友からどこの大学図書館でAという本を所蔵しているのか知りたいという電話がかかってきた。Webcatの存在を彼に教えるとともに、所蔵について調べてあげた―図書館員ならば業務とはいえないが友人の役に立った経験は1つや2つあるのではないだろうか。 情報探索や情報利用、情報伝達といった領域の研究は、図書館情報学では情報利用研究(user’s study)と呼ばれ盛んに研究が行われている(1)。本論では、アフォーダンス理論(affordance theory)に基づき大学院生の情報行動分析を行った論文を紹介しつつ検討を行う。その際、先ほどの日常的な場面が分析の俎上に上っているのを目にすることになるだろう。 1.アフォーダンスとは アフォーダンスとはアメリカの心理学者ギブソン(James J. Gibson)が提唱した概念である(2)。本章で