美しい毛に特徴的な顔のキンシコウは、古代中国の史官たちを魅了した。(PHOTOGRAPH BY JOEL SARTORE, NATIONAL GEOGRAPHIC PHOTO ARK) 11世紀の中国に、陸佃(りくでん)という学者がいた。陸佃は国内に生息する動物、鳥、昆虫、樹木について記録した百科事典を著し、そのなかで「四川の山に生息し、黄金色をしたふわふわの尾を持つ」というサルの記述を残している。その骨は薬に使われ、皮は上質の敷物や座布団になるという。 陸佃の書いたサルとは、キンシコウのことである。シシバナザルの一種で、シセンシシバナザルとも呼ばれる。美しい並み、鮮やかな青色の顔に小さな鼻、そして薬効があると信じられていたことから、中国の皇帝たちはその独特の魅力に取りつかれ、その姿を目にした人々は数々の文献にこのサルのことを書き残した。(参考記事:「厳冬の山に生きる キンシコウ」) それ