カプコンの辻本憲三会長兼最高経営責任者(CEO、78)は、世界に通じる最先端のゲームの開発を徹底してきた。創業者としてのリーダーシップで開発陣を引っ張ってきたが、2007年に社長職を長男の春弘氏(54)に譲った。変化の激しい時代の経営トップの条件や、人材育成などについて聞いた。(前回の記事は「会議の資料は数字だけ カプコン創業者のリスク管理術 」) 中学から家業手伝い、ゲームを肌感覚で理解――後継者を身内から選んだのはなぜでしょう。 「息子たちは幼い頃からゲームに囲まれて育ってきました。長男は中学生のときから工場を手伝い、ゲーム機の開発やソフトづくりの現場を見ており、ゲームとは何かを肌感覚で分かっている。事業を任せるのにふさわしいと判断しました。開発担当の常務執行役員を務める三男の良三は、シューティングゲームの『スペースインベーダー』を足で操作するほど極めていました」 「もちろん、社内には