地球の論点―現実的な環境主義者のマニフェスト [著]スチュアート・ブランド[[評者]山形浩生(評論家)[掲載]2011年7月24日著者:スチュアート ブランド・Stewart Brand 出版社:英治出版 価格:¥ 2,310 ■原発推進へと「転向」した理由 七〇年代米西海岸文化を支えた「全地球カタログ」。大企業と政府による消費と管理の枠組みに対抗し、個人の創意と自由に基づくエコライフスタイルを提案した雑誌だ。同誌の標語「ずっと無謀で」はアップル社のジョブズの座右の銘にもなった。 その伝説的な編集発行人が本書の著者スチュアート・ブランドだ。その後も電子コミュニティー初期の論客としてネット社会の議論形成に貢献した。いまの環境保護論者の多くは彼の影響下にある。 本書はそのブランドが地球温暖化を懸念し、対策を提案した本だ。その答えは、都市化促進、気候工学、遺伝子工学、そして……原子力推進だ。