僕は美術に関して素人である。素人であることを発言の内容に対する免罪符にするつもりはない。素人ではあるが、素人なりに美術を楽しんできたつもりである。門外漢であるが、門外漢であるが故に、言えることはあるだろう。特に、コンセプトや開催概要、理念などについては、色々と言える部分があると思う。一応、文章を吟味=クリティークし、価値判断を下すということで、お金をいただいているわけであるし、その方法論について、多少は勉強する機会もあったのだから。 問題にしたいのは、札幌ビエンナーレと、そのプレ企画の「表現するファノン――サブカルチャーの表象たち」についてである。とは言え、「問題にする」あるいは「批判する」ということを、ネガティヴな意味で捉えていただくと、意味が違ってくる。人が批判、あるいは批評をするとき、その基本的な動機には二つのパターンがある。1、ある期待のラインが高いので、それに向けて鼓舞したいとき