…………飽きた。 夏の真っ盛り。どこか遠くからセミの鳴き声の聞こえてくる街中で。 狩り入れ時(※誤字ではない)の夏休みをまだ一ヵ月弱ほど残した時点で、彼女は唐突に呟いた。 絵に描いたようなメスガキである。ロリコン好みの金髪ツインテールに、気の強そうな顔立ち。露出度の高いカラフルな服。手にしたアイスキャンディーが、酷暑に耐えかねてぽたりと雫を垂らす。 およそ一年半の間、比喩でなく股が乾く間もないほどにありとあらゆる男性と関係を重ねてきた彼女は、夏の日差しの中、ビルの合間から白い雲を見上げて、唐突に悟ってしまったのだった。 自分はこの歳にして、性を極めてしまった。 もうこの先、誰と何をしようとも、「以前にも見たようなもの」としか、出会うことはない。 それは理屈ではなかったが、確信を伴う天啓だった。 走り始めてからは常に全速力。時にきわどいことはあったが、補導も暴力も犯罪も家族会議も紙一重で逃れ