1―基本的視点 どこでも虐待は起きる 何か特別に悪い施設で虐待は起きるのではありません。「福祉に熱心な優良企業」といわれた会社や、障害関係者から高い評価を得ていた施設でひどい虐待が行われていたことがいくつもありました。 ちょっとした過ちは誰にでもあります。疲れてストレスがたまっていたり、行動障害の激しい障害者に振り回されたりしているときに、つい……。そんな経験は福祉現場にいる職員の多くがあることでしょう。 ふつうの職場でもよくあることなのです。しかし、相手を傷つけたり、無視したりすれば、抗議されたり、嫌な顔をされたり、やり返されたりするものでしょう。ところが、重い障害のある人の中には傷つけられても黙っている人が少なくありません。へらへらと笑っているように見えることすらあるのです。 そうすると、傷つけたり無視したりしている側は良心の呵責を感じることもなく、自分のしていることが障害者を傷つけて