先週再び実家に戻った。7月末の鎌倉は異様に暑い。横須賀線内は若い海水浴客ばかり。周囲40人ほどの大半はスマホに見入り、昔ながらに文庫本を読む人は3人しかいない。改めて自分はもう若くないと痛感した。暑さの中で予定より早く着いたら、何と実家は留守。母は買い物にでも行ったのか。しまった、実家の鍵は持っていない。今回の話はここから始まる。 相手が女房なら携帯で早く帰れと頼むのだが、あいにく母は携帯電話を持ち歩かない。昭和初期生まれの彼女はその必要性を感じないのだ。おかげで酷暑の中、実家門前で1時間近く閉め出しを食った。「初老男、熱中症で入院」という悪夢が頭をよぎる。ぼーっとする中でいろいろ考えた。外出中連絡が取れない母の世代に比べれば、筆者夫婦は昭和30年前後生まれ。ワープロとポケベルを使い始めた世代だ。文章入力は英語キーボードだが、仕事の連絡はFAXが主流だった。当時時間はもっとゆっくり流れてい