自民党の安倍晋三総裁が再び首相の大任を担う。1度目は前任者の小泉純一郎元首相がレールを敷いた「禅譲」の色合いが濃かったが、今度は違う。不利な情勢にあった9月の党総裁選に逆転勝利し、さらに衆院選でも自力で2度目の首相の座を引き寄せた。だが、大勝しても安倍氏は16日夜のフジテレビ番組で淡々とこう述べた。 「基本的に自民党に対して完全に信頼が戻ったということではない。(有権者は)期待に応えていくか厳しい目で見ている」 勝利は民主党や第三極の自滅によりもたらされたもので、浮かれている場合ではないと引き締めているのだろう。「気負い」見えず 5年3カ月前、病に抗せず退陣を余儀なくされた安倍氏は今回、尊敬する幕末の志士、吉田松陰の戒め「一蹉跌(さてつ)を以(もっ)て自ら挫折することなかれ」を実践してみせた。 「私は政治的に一度ほとんど死んだ人間だ。もう怖いものはなくなった」 安倍氏は総裁選以降、会合など