『文字の骨組み』 発売されてから間もなくの頃にこの本を買ったものの、当時は字体の本に興味を持てなくて積ん読にしておいた。最近たまたま本棚に目を移した時に気がついて読んでみた。 もっと早く読むべき本だった。この本の特徴は字体と書体どちらにも興味を向け、ページを割いていることである。大抵の本は字体と書体、どちらか一方しか扱っていない。字体の本を書くのは漢字が好きな人で、漢字好きは意外と書体に興味が向かないようだ。興味があるとしても書体ごとの字体の差異に視点が向かうらしい。 対照的に書体の本を出す人は印刷に興味がある人やデザイナー・編集者などで、漢字にあまり興味を示さないのか字体の話を取り扱わないことが多い。 だから字体の変化と書体の変化の関係について述べている本があまり見あたらないのだが、この本は両者の関係について丁寧に調べて書かれており大いに勉強になった。 『市川崑のタイポグラフィ』 「犬神