この連載を通して「建築物の基礎の基礎」を聞かせていただいて思うのは、専門家の方がまさしく文字通り「地面の下のことは、掘ってみるまで分からない」と考えていることだ。地盤を直接目で見ることはできない以上、穴を掘る機械のトルク(電流値)の変動や標準貫入試験などで、「近似値」を集めて推定するしかない。 こうした近似値、二次情報には、設計者やオペレーターが変われば、見方や数値も変わりかねないほどあいまいな部分がある。だから慎重に、推定と検証を重ねて、安全を確保できるように設計・施工する。そして、その際に危険なのは、「推定」が「事実」として一人歩きをすることだ。 これは、施工現場だけの話ではない。 今回の事件報道でも、どこまでが「事実」で、どこからが「推定」なのかが、いつの間にか分からなくなっている気がする。その状態で犯人捜しや原因を決めつけるのは、基礎がいいかげんな建物に住むようなものだ。いずれ、沈
「安倍談話」は韓国を完全に無視した。「韓国外し」の狼煙だ。 3つの言葉を要求した韓国 安倍晋三首相が8月14日に「戦後70年談話」を出しました。これに対し、朴槿恵(パク・クンヘ)大統領は「物足りない部分がある」と言いながらも、一定の評価をしました。 鈴置:韓国はもっと怒るべきなのですが……。なにせ「安倍談話」は韓国を完全に無視したのです。よく読むと、安倍首相の眼中に韓国という国など、一切ないことが分かります。 談話には「韓国」「植民地」という単語も入っています。それでも韓国を無視したというのですか? 鈴置:その通りです。まず、韓国とこの談話の関係を説明します。韓国は朴槿恵大統領が先頭に立って「河野談話」(1993年)と「村山談話」(1995年)で日本が打ち出した歴史認識を「戦後70年談話」でも継承するよう繰り返し求めました。 柳興洙(ユ・フンス)駐日大使は4月22日、東京での講演で「植民地
国立競技場に続いて、オリンピックに関連したデザインの受難が続いている。今度は、 2015年7月24日に発表された東京オリンピックのエンブレムだ。 事の発端は、ベルギーのリエージュ・シアターのロゴマークに似ているとして、このロゴをデザインしたベルギーのデザイナー、オリビエ・ドビ氏がTwitterやFacebookなどのSNSで両デザインを比較した画像を発表したこと。この画像がインターネットを通じて一気に広がり、日本国内でも「模倣ではないか」と多くのメディアが取り上げる事態になった。その後ドビ氏はオリンピックエンブレムの使用停止を求めてIOCとJOCに、書簡を送付している。 こうした事態に対して8月5日、ロゴを発表した東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下組織委員会)と、デザイナーの佐野研二郎氏が都内で会見。佐野氏は「全く似ていない」とベルギーのデザイナーの主張に真っ向から反
吉田 泰則 著 四六判、256ページ 発行日:2015年4月13日 定価:本体1,400円+税 ISBN:978-4-8222-7910-3 発行:日経BP社 発売:日経BPマーケティング 元伊勢丹メンズ館のカリスマバイヤーが直伝! 「勝負の日はブラックスーツで気合いを入れる」 「きっちりした印象を与えるために、ジャケットのボタンは全部留める」 「謝罪のシーンでは、情熱を伝えるために赤のネクタイ」……。 ビジネスマンのみなさん、知らない間にこんなミスを冒していませんか。実はこれらは、着こなしのルールから見ると全てタブーです。日本では、多くのビジネスマンがファッションに対して苦手意識を抱いています。それは、「ファッションとはセンスだ」と思っているからかもしれません。けれど実は、ビジネスシーンの洋服選びに「センスは不要」。正しいルールを知り、ロジック通りにその日着る洋服を選べば、たちまち「憧れ
働く時間を激減させながら、増収増益を続ける。掲げるのは、従業員の健康を企業価値創出の基盤と位置づける「健康経営」。斜に構えた人からは「キレイ事」「夢物語」などと言われそうな話だが、実際にそれが十分できることを証明している企業がある。しかも、構造的な長時間残業やメンタルヘルスの問題が指摘されるIT(情報技術)産業にだ。 残業時間を激減させると同時に増収増益を続けている、SCSK。数年前までは他のIT企業同様に労働環境の問題に悩んでいた同社に、何が起きたのか。仕掛け人の中井戸信英会長・健康経営推進最高責任者が、その要諦を語った。 日経ビジネスは6月15日号の特集で活力ある働き方を実現する「戦略投資」として、健康経営を推進することが、エクセレントカンパニーの新条件であることを示した。普通の企業よりも「厳しい条件」から出発したSCSKの取り組みは、多くの「働く人」や企業経営者にとって参考になるはず
「まさか最終面接でサイレントお祈りとは!」 これは昨年就職活動を経験し、現在社会人1年目のAくんに先日取材していたときに出た言葉だ。法政大学3年生の頃から取材を通じて知る彼はふだん穏やかな好青年。しかしこの話をしたときには珍しく顔をしかめたので驚いた。 就活をする大学生は、企業が就活生に出す不採用通知メールを「お祈りメール」と呼ぶ。文末に「今後のご活躍をお祈りいたします」と書いてあることが多いためだ。サイレントお祈りとはさらにひとひねり加わって、「お祈りメールすらよこさず不採用」という意味になる。 Aくんが「サイレントお祈り」をどの企業からくらったか聞いてまた驚いた。お客様サービスが売りのコンビニエンスストア大手の1社だったからだ。「就活中の大事な時期に連絡が来ていないかずっとメールが気になって集中できず、気分がモヤモヤしました。町でコンビニを見かけるといまだに思い出します」と就活から1年
「ぼちぼち、ソニーを辞めていいですかね?」 2010年、あるソニー社員が退職を決断した報告のため、元ソニー社長の大賀典雄氏に会いに来た。その年の年末にソニーを去った、乗松伸幸氏だ。翌年の2011年、乗松氏は、古いオーディオ機器やビンテージ家電などの修理会社「ア・ファン」を立ち上げる。 ソニーを退社し起業して3年余り。昨年春にソニーがサポートを打ち切った、ある製品の修理に成功したことで、ア・ファンは往年のソニーファンの間で知名度が急上昇することになる。 同社が修理に成功した製品。それはソニーが1999年に発売し、累計で約15万台を販売したとされる、子犬型のペットロボット「AIBO」だった。 約300台のAIBOが入院待ち 茨城県笠間市。JR友部駅からクルマで20分の石井地区に、ア・ファンの修理作業所の一つが存在する。「病気の母が大事にしていたAIBOなので、何とか直せないか」「孫が喜ぶので、
相次ぐ「少年事件(この場合の少年とは、「満20歳に満たない者」を意味する)」が注目を集めている。川崎市で中学1年生を殺害した容疑で神奈川県警は先月末、少年3人を逮捕した。今年1月、名古屋市の女性殺害事件で大学生が逮捕され、昨年7月には長崎県佐世保市で高校生が同級生を殺害する事件が起きた。 2014年4月には改正少年法が成立し、少年事件は厳罰化の方向にある。しかし実は、少年による凶悪犯罪の件数は劇的に減っている。 少年事件はなぜ大々的に報じられるのか。加害少年の「心の闇」とは一体何か。 NHK「週刊こどもニュース」の「初代お父さん」を務めたジャーナリスト・池上彰氏と、2004年の佐世保小6同級生殺害事件を描いたノンフィクション『謝るなら、いつでもおいで』(集英社)の著者で毎日新聞記者の川名壮志氏が語り合う。 (対談は2月7日に実施した。構成は外薗 祐理子) 池上彰(いけがみ・あきら)氏 ジャ
テニスの四大大会(グランドスラム)の1つ、全米オープンの決勝戦に日本人はおろかアジア人として初めて進出した錦織圭──。 同じ四大大会の全豪オープンを今年制したスタニスラス・ワウリンカ(スイス)や現世界ランキングナンバーワンのノバク・ジョコビッチ(セルビア)といったトップ選手を次々と撃破した日本の若武者の快進撃は、残念ながら決勝で止まり、準優勝という結果に終わった。 それでも四大大会の決勝の舞台に初めて立ったという歴史的偉業の重みが減じることはないだろう。ここではこの快挙を巡って考えたことを記してみたい。 米国選手がトップから姿を消した本当の理由 アマチュアの愛好者としてテニスをたしなみ、10部で構成される東京都実業団の下部で選手としてプレーした経験もある筆者は、1980年代半ばから、世界のトッププロの試合をテレビなどで観戦してきた。 そしてこの10年ほどのトッププロの顔ぶれを見て、首をかし
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