昨年、ある医学部で学生たちに、こんな問いかけをした。 「29歳のトランス男性が、交際3年の彼女の両親から結婚しないのかと執拗にせまられて、性別適合手術を受けるか悩んでいる。あなたならどうしますか?」 補足しておくと、今の日本では戸籍上同性どうしだと結婚することができない。彼が戸籍の性別を変更するためには卵巣を摘出することが性同一性障害特例法で求められている(あまりに侵襲性が高いペニス形成は必須ではない)。ホルモン療法によってヒゲが生え、声変わりした場合であっても、この手術を受けない限りは戸籍上が女性であるため、就職活動や家を借りること、身分証を出す様々な場面で奇異の目を向けられたり、彼女と結婚することは不可能だったりする(恋人が彼氏なら「妻」として結婚できるけれど)。このような事情から身体違和の解消目的よりも法律のために手術を選ぶ当事者は少なくない。さて、どう考えたら良いだろう。 きっとい