取引先からのクレーム対応のため、元日から新幹線で大阪に出張。ホームで見送る恋人は、車窓の外側から口紅で「アイラブユー」と書いて男を赤面させる-。団塊世代のサラリーマンを描いた人気マンガ「課長島耕作」のワンシーンだ。作者の弘兼憲史さん(67)は「われわれ団塊の世代の男性にとって、昭和39年に開業した新幹線は憧れだった。このシーンは、バブル期の猛烈に働く企業人を象徴するエピソードですね」と解説した。 東海道新幹線の開業以前、東京-大阪間は在来線特急「こだま」で6時間30分かかった。だが、39年10月1日に営業運転を開始した新幹線「ひかり」は、同区間を約4時間で結んだ。前日までは半日がかりだった移動時間を、一夜にして3時間近く短縮した技術革新が、社会に与えた影響は大きい。■ ■ ■ 鉄道を使って都市間を移動する際の時間を距離に置き換えて、日本列島の外周を変形させて描く「時間地図」。東京大学大学院