平成14年10月に帰国した拉致被害者、蓮池薫さん(55)、祐木子さん(56)夫妻を拉致したとして国外移送目的略取容疑で国際手配されている北朝鮮工作員、チェ・スンチョル容疑者が、拉致された直後の被害者に「早急に日本人を連れてこいと指令を受けた」と説明していたことが13日、捜査関係者への取材で分かった。蓮池さん夫妻が拉致された昭和53年は日本人10人が拉致されたほか、韓国、タイ、マカオ、ルーマニア、レバノンでも拉致事件があり、北朝鮮上層部が緊急的に拉致指令を出した可能性が強まった。 捜査関係者によれば、チェ容疑者は53年7月下旬、北朝鮮の工作機関「対外情報調査部」から拉致指令を受け、拉致実行役の3人と新潟県柏崎市に潜入。海岸付近で2、3日、拉致対象者を探していたところ、同31日にデートに訪れた蓮池さんらを見つけ、チェ容疑者が「たばこの火を貸してくれ」と薫さんに声をかけ、拉致を実行した。 薫さん