昭和44年2月27日、大分県九重(ここのえ)町の八(はっ)丁(ちょう)原(ばる)。標高1100メートルのこの地は日中の最高気温さえ氷点下10度を下回った。そんな吐息も凍るほどの九重(くじゅう)連山に九州電力や関係会社の社員らの「万歳」がこだました。 地下1087メートルまで掘り進んだ直径20センチのパイプから大量の蒸気が噴き出したからだ。この蒸気ならば発電タービンを回すことができる。地熱発電所建設に向け、現地の九電調査所に配属されていた松本正氏(69)は当時の様子を克明に憶えている。 「轟音とともにすさまじい勢いで蒸気が噴き出しました。辺りは寒いのにものすごい熱気です。誰も彼もが『出たぞ!』と叫んでいました。ああっ、これまでの苦労が報われた。心からそう思いました…」 だが、喜びもつかの間。数分後、蒸気とともにバリバリと激しい音をたてながら人の頭ほどの岩石が次々にパイプから噴き出した。あわて
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