在日朝鮮人2世の金稔万さん(53、兵庫県尼崎市)が、働いていた建設現場で「通名」(日本名)の使用を強いられ、精神的苦痛を受けたとして、建設業者や国に100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決が26日、大阪高裁であった。林圭介裁判長は原告の請求を棄却した一審の大阪地裁判決を支持し、金さんの控訴を棄却した。 「通名」の強制自体を否定していた1審判決とは異なり、今回の控訴審で高裁は「不必要な通名使用を強いて、金さんのアイデンティティーを侵害した」と建設会社による通名の強制は認めたが、「アイデンティティを侵害する悪意はない」とし、違法行為には当たらないと判断した。 大阪滞在中の私も判決当日、高裁に足を運んだ。高裁の建物前には開廷前から数多くの支援者、関係者、記者たちの姿があった。37枚の傍聴券を求めて100人以上が集まった。抽選にもれた私は部屋のすぐ外で判決の時を待った。控訴審判決は、「控訴を棄