自分と「異質」と感じたもの、「不愉快な隣人」に対して、人はどのように振る舞うべきか。 古くて新しいこの問いに『不寛容論 アメリカが生んだ「共存」の哲学』(森本あんり著、新潮選書)という本が示された。森本先生は国際基督教大学(ICU)の人文科学科教授を務め、当日経ビジネス電子版の長寿人気連載の著者、小田嶋隆氏の高校時代の級友でもある。 よくある俗説として「一神教の教徒がどうしても不寛容なのに対して、日本人は多神教(無宗教?)だから異文化に寛容」というものがある。だが、本書で引用された調査によれば、日本人は「他宗教の信者を信頼する」「他宗教の信者も道徳的と考える」人の比率が中国と並んで低く、「移民・外国人労働者と隣人になりたくない」率が高いという。 「つまりこの両国(※注:日本と中国)では、何の宗教であるかを問わず、そもそも宗教というものに対する寛容度が低いのである。(中略)外来宗教との接触が