日本全国、どこでもSNSで他人とつながり、Googleで調べればどこにでも行ける世の中ーー私たちはそう思い込んで暮らしている。でも、それは本当の「つながり」なのだろうか。そんな毎日から、こぼれ落ちている視点や感情はないだろうか。 デビュー以来、多くの作品で「地方や郊外に生きる普通の女性」の内面を描いてきた作家・山内マリコ。彼女が新刊『選んだ孤独はよい孤独』で主題に据えたのは、2000年代以降の日本に生きる男性の葛藤だった。そこには、「つながり」に縛られ、他人からどう見られるかを常に意識する現代人の「孤独」が描かれている。 山内氏と、かねて親交のあるライター・編集者の速水健朗氏が、「つながらざるを得ない社会」との距離感を語った。 (撮影:丸山剛史) 毎日、どこかが燃える世界で 速水:山内さんが作家としてデビューされたのはいつでしたっけ? 山内:最初の本(『ここは退屈迎えに来て』)が出たのが2