タクシーが大阪・中之島近くまで来ると、乗客は運転手にこう告げた。 「関西電力本店の正面ではなく、少し手前で降ります」 東京電力福島第1原子力発電所事故から1年3カ月あまり。原発の再稼働問題で国論が二分される中、関電本店には反原発派が連日押しかけるため、本店前でタクシーに乗降する関電社員は激減した。 昨年夏、関電のある社宅ではエアコンの室外機が動いているのか、止まっているのかを近隣住民にチェックされることもあったという。「節電を要請している関電の社員がエアコンを使っているのはけしからんというわけです」(同社関係者)。宴席でも社名を出して予約することはなくなった。 「あなた方の論理は世間で通用しない」「死んでおわびするのか」 4月24日、大阪市役所で開かれた大阪府市統合本部のエネルギー戦略会議。中部電力浜岡原発差し止め訴訟の弁護団長を務めた弁護士の河合弘之委員に厳しい口調で追及されても、関電の