大手広告代理店の社員の自殺を機に、過重労働を放置する企業に対する取り締まりが強化されている。その役割を担うのが労働基準監督署となる。全国に321署と4支所があり、そこで企業の取締りを主体的に行うのが労働基準監督官だ。全国で3241人が働いている。 監督官の存在はあまり知られていない。国家資格で、取り調べたり、送検したりできる司法警察の権限を持つ。2016年度は3673人の受験者に対し、402人が合格している。倍率8倍以上の難関だ。弁護士で、各種資格取得を支援するサイトビジット(東京・品川)の鬼頭政人社長は「キャリア官僚ほどではないが、地方上級公務員より難易度が高い。労働法規を学ばなければならず浅い知識では対応できないため、ハードルは高い」と指摘する。 試験に合格すると、4月に任官される。監督署へ配属され、先輩からOJTで監督業務のイロハを3年かけて学ぶ。その後、別の他府県の監督署で4年間勤