静岡県富士宮市で2021年5月に3人を死傷させた自動車運転処罰法違反(過失致死傷)の罪で禁錮3年の判決を受け、服役中に米国へ移送されていた米海軍兵が12日に仮釈放されていたことが分かった。米CNNが報じた。米兵の本国送還や釈放を求めてきた米上院のマイク・リー議員は13日、X(旧ツイッター)に「日本は(米兵の)家族と米国に謝罪すべきだ」と投稿した。(平安名純代米国特約記者、東京報道部・新垣卓也)
各知事の経歴は、総務省などの官僚や国会議員が目立ち、市長や都道府県職員だった人もいる。政治・行政の経験豊かなプロが都道府県のかじ取り役を担っていると言っていいだろう。今回のアンケートでは沖縄県を除く46都道府県の知事が調査対象となり、うち21人が沖縄の基地負担について「軽減すべき」と答えた。だが、大きな負担と考えられる辺野古移設計画について43人が適否の態度を示さなかったのを見ると、NHKの人気朝ドラマ「虎に翼」の寅子のように「はて?」とつぶやきたくなる。 その疑問は、自らの自治体に米軍基地を「受け入れる意思がある」と答えた知事がゼロだったことから氷解する。つまり、多くの知事たちは沖縄の過大な基地負担に同情はするけれど、代わりに基地を受け入れるのは御免だというのだ。例えて言えば、ごみミ処理場は必要だし、近隣に住む人はお気の毒だけど、うちの近所への移設は反対するということだろう。 沖縄で何度
沖縄県知事選を前に、「那覇市役所前で上海から来た中国共産党員が『もうすぐ人民解放軍が来る。その時分からせてやる』と主張する動画」が交流サイト(SNS)で出回っている。しかし、動画を確認すると「根拠不明」だった。 動画は市役所前でヘイトスピーチ街宣を繰り返していた「シーサー平和運動センター」がユーチューブに上げている。2016年12月、団体メンバーが旅行者らしき男性を怒鳴り上げる様子が映る。 音声を確認すると、団体メンバーが「そのうち中国人民解放軍が来る」などと主張している。男性の方は「上海から来た」と言ったほかは、人民解放軍、共産党員などの単語を出していない。 しかし、映像では男性の姿に「今に人民解放軍が来る」という字幕がかぶせられ、あたかも男性がそう言ったかのように演出されている。 ツイッターでは「沖縄はそこにある危機に気づけ」など、知事選に関連付けて動画を引用するツイートが複数あり、8
「沖縄タイムス」「沖縄新聞」「沖縄朝日新聞」「沖縄毎日新聞」-。戦前に沖縄で発行されていた新聞紙面計63枚を、県教育庁文化財課史料編集班が高知県立牧野植物園で発見した。うち8枚はこれまで現物やコピーが確認されておらず、掲載内容が明らかになるのは初めてとみられる。納富(のうとみ)香織指導主事は「新聞が1枚でも見つかれば、その日に起こった出来事が分かる。歴史の空白を埋める貴重な資料」と語った。(社会部・當銘悠) 沖縄では戦争で多くの歴史資料が焼失。同班は2017~21年に8回にわたって植物園に出向き、植物標本を挟むために使われていた新聞を調査していた。 今回収集した63枚は1900(明治33)年~22(大正11)年の発行。うち新発見とみられる8枚は、国会図書館や東京大学の明治新聞雑誌文庫などでも見当たらないという。...
沖縄県は、25日に開いた「アドバイザリーボード会議」終了後、会議開始前の知事や委員の雑談部分の報道を控えるよう、報道各社へ通知した。その後、会議外の発言であることに「留意」するよう再通知し、事実上、報道への制限はなくなったものの、公の場での発言にいったんは報道の制限を求めた県の姿勢に、識者は「問題がある」と指摘する。 知事の「ゼレンスキーです」との発言は雑談の冒頭にあった。その後には知事が、日米首脳会談で台湾有事での軍事的関与を明言したバイデン米大統領の発言の真意を尋ね、委員が回答する場面があった。 県は本紙取材に、「雑談部分」は「バイデン氏発言に関するやりとり」との考えを示した。報道を控えるよう伝えたことは「予定外のやりとりで、委員も報道される前提で話しているか分からないため」とした。 報道を控えるよう通知した「雑談」に、県が「ゼレンスキー発言」を含んでいたのか、真意は不明だ。 ただ、取
シンポジウムに登壇された田岡氏、小西氏のこれまでの軍事分析は傾聴すべきものだと思いますが、この記事に書かれてある主張にはやや違和感を覚えます。田岡氏は、台湾の独立は内政問題として「どの国でも国家を分裂しようとすれば取り締まるのは当然」と主張し、台湾を独立させようと武力行使することはロシアのウクライナ侵略と同類、と発言されたそうです。 シンポジウム全体を聞いていないので、一部の発言が強調されているだけかもしれません。しかし前提として確認しなければならないのは、台湾が主張しているのは「現状維持」であって「独立」ではないということです。確かに、今日、台湾は、民主化し、自立したアイデンティティーを持つようになっており、中国と異なる存在として自らを見るようになっています。 しかし、「独立」を宣言すれば中国が反発し、軍事侵攻を仕掛けてくることは分かっているので台湾はそうせず、「現状維持」を当面の目標と
「沖縄から貧困がなくならない本当の理由」(光文社新書)が発売から2年近くたっても売れ続けている。著者は沖縄大学准教授の樋口耕太郎氏で、貧困の原因を「自尊心の低さ」に求める内容。立論の前提となるデータを本紙がファクトチェックすると、「誤り」や「不正確」な記述が複数あった。「根拠不明」な推測もあり、真偽がない交ぜになっている。(編集委員・阿部岳) 同書は、沖縄の問題点を繰り返し列挙する。例えばこんな記述がある。「沖縄社会における、自殺率、重犯罪、DV、幼児虐待、いじめ、依存症、飲酒、不登校、教員の鬱の問題は、全国でも他の地域を圧倒している」 しかし、脚注をたどってデータを検証すると重犯罪、幼児虐待、いじめへの言及は「誤り」。DVは「不正確」、依存症、飲酒は「根拠不明」だった。この一文で指摘する9点のうち6点に何らかの問題がある。 重犯罪は凶悪犯罪のデータで、沖縄の認知件数は人口比で全国18位(
自民党憲法改正実現本部長の古屋圭司衆院議員が今月、神武天皇と現在の天皇陛下が「全く同じY染色体である」とツイートした。本紙がファクトチェックすると、結果は「根拠不明」だった。 古屋氏は今月6日、ツイッターにこう投稿した。「天皇制度は如何(いか)に男系男子による継承維持が歴史的に重要か、神武天皇と今上天皇は全く同じY染色体であることが、『ニュートン誌』染色体科学の点でも立証されている」と記した。リツイートと「いいね」は計7千近くに上る。 神武天皇は初代天皇とされる。宮内庁は本紙取材に「日本書紀などの文献に基づき歴代天皇に数えているが、実在するか否かについては諸説ある」との見解を示した。 奈良県には神武天皇の墓という位置付けの場所もある。ただ、管理する宮内庁は「神武天皇のご遺体が発見されたということは承知していない」と述べる。 Y染色体は父から男子に受け継がれる。しかし、神武天皇は実在も遺体も
27日午後11時ごろから28日午前4時すぎにかけ、沖縄県警沖縄署を若者ら300人以上が取り巻き、石や棒、爆竹、生卵などを投げ付ける騒ぎがあった。若者らは「仲間が警察官に暴行された」と訴えている。 同署によると27日午前1時15分ごろ、沖縄市宮里の路上で、複数台のバイクによる暴走行為の通報を受けた警察官が警戒中、バイクに乗っていた男子高校生(17)=同市=と接触、その後高校生は右眼球破裂の大けがを負った。警察官は右腕にすり傷を負った。 当時男子高生と一緒にいたという友人の男子生徒(17)によると、暴走行為をしているグループがあると聞きつけ、沖縄市に見学に行った。 その後午前1時ごろ、同市宮里のコンビニでたむろしていたところ、警察官の姿を見た高校生が補導を恐れてバイクで逃げた。約20分後、生徒は現場から離れた場所で友人らに「警棒で殴られた」と連絡したという。 別の友人の男性(17)は「何もして
1993年那覇市生まれ。2016年沖縄タイムス社入社、政経部や社会部を経て2020年4月からデジタル部。 きょうは5月8日、語呂合わせで「ゴーヤーの日」だ。いまや全国区となった沖縄の食材「ゴーヤー(にがうり)」。沖縄県民は「ゴーヤー」と呼ぶのが一般的だが、全国展開するコンビニや居酒屋では「ゴーヤ」と表記する店もある。全国ニュースでも「ゴーヤ」と呼ばれているのをよく耳にする。沖縄で生まれ育った筆者は語尾を伸ばさないのが気になって仕方がない。「ゴーヤー」と「ゴーヤ」どっちが正しいのだろうか。(デジタル部・比嘉桃乃) 検索数は「ゴーヤ」が上位 「ゴーヤ」の呼び方は一体どんな人たちが使っているんだろう。 Googleトレンドで調べてみた。過去5年分の検索結果では、「ゴーヤー」よりも「ゴーヤ」のほうが圧倒的に検索数が多い。「ゴーヤー」呼びが当たり前の環境で育ってきた筆者としては意外な結果だ。しかも、
西洋風の建築物や路面電車が走る那覇の近代的な街並み、琉球王国時代からの伝統の芸能や暮らし。朝日新聞大阪本社で見つかった戦前の沖縄の写真には、琉球が日本の1県として変わっていく姿と、祖先から受け継いだ生活文化を営む人々のたくましい姿が入り交じる。那覇、島尻、やんばる、宮古、八重山。沖縄戦後、風景は一変したが、人々の暮らしぶりは今の私たちの文化につながっていることを知らせてくれる。計165枚から一部を紹介する。(社会部・城間有)(写真は全て朝日新聞社提供) 大正から昭和初め 那覇の市場 大正末から昭和の初めに撮影された那覇の市場。写真裏のメモには「左方の建物は肉市場(市設)」と書かれている。当時東町の旭橋付近に公設市場があり、魚や野菜、米、雑貨、焼物などが売られていた。肉市場は「シシマチ」と呼ばれていた。路面電車は、1914年から33年まで那覇市の通堂-首里間を走った「沖縄電気軌道」。人力車や
【解説】米ハーバード大学のJ・マーク・ラムザイヤー教授は沖縄に関する論文で、自説を裏付けるため研究書ではない差別主義者の著書を多用した。結果、沖縄に対する差別はないものとされ、問題は日本の側ではなく沖縄内部にあるとの結論が導かれている。学問の装いで差別を補完、強化する責任は大きい。(編集委員・阿部岳) 論文は例えば「本土の大半が飢餓を辛うじて免れていた終戦直後、米軍は沖縄の人々には気前よく大量の牛肉など食料を配布した」と記述する。実際には沖縄の収容所では栄養失調で亡くなる人が続出した。 この記述の引用元は「沖縄を本当に愛してくれるのなら県民にエサを与えないでください」(渡邉哲也氏、惠隆之介氏著)という対談本だ。ラムザイヤー氏はこの本をたびたび引用しながら参考文献に含めず、沖縄差別があらわな書名を明示しなかった。恣意(しい)的な引用はほかにも多く、研究倫理上の問題がある。 参考文献には「在日
今年の8月15日は宮崎市にいて「八紘一宇(はっこういちう)の塔」を訪ねた。仰ぎ見る36メートルの存在感。何より、侵略戦争のスローガンが21世紀の空に突き立っていることに圧倒される ▼刻まれた八紘一宇は「世界を一つの家にする」意味。神武天皇の伝説に由来し、宮崎はゆかりの地とされる。塔は太平洋戦争を始める前年の1940年に建てられ、日本主導の世界秩序実現を宣伝した ▼よく見ると、土台部分には「南京」や「河北省」の文字がある。礎石は侵略した地域からも集められた。中国の博物館が4年前に返還を求めたものの、管理する宮崎県は「塔の取り壊しはできない」と断っている ▼実は、八紘一宇の文字は敗戦後、米軍の指摘を受けていったん削られた。ところが65年にはもう地元経済界主導で復元された。名前だけは「平和の塔」と呼び換えられた ▼塔の姿が、日本と二重写しになる。大日本帝国は崩壊し、「平和国家」に生まれ変わったこ
琉球大学大学院医学研究科の佐藤丈寛博士研究員と木村亮介准教授らを中心とする共同研究グループは琉球列島の人々の遺伝情報を広範に分析した結果、台湾や大陸の集団とは直接の遺伝的つながりはなく、日本本土に由来すると発表した。これまでも沖縄本島地方についての研究データはあったが、八重山・宮古地方も含め、大規模に精査した点が特徴。英国に拠点がある分子進化学の国際専門雑誌「モレキュラーバイオロジーアンドエボリューション」の電子版(1日付)に掲載された。 木村准教授は「沖縄の人々については、東南アジアや台湾などに由来するといういわゆる『南方系』との説もあったが、今回の研究はこれを否定している。沖縄の人々の成り立ちを明らかにする上で貴重なデータになる」と話している。 研究では、沖縄本島、八重山、宮古の各地方から計約350人のDNAを採取。1人当たり50万カ所以上の塩基配列の違いを分析した。 また、宮古・八重
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