目の覚めるような青空、それがラドンの伸びやかな飛翔(ひしょう)とラストの悲哀を際立たせます。ただいま全国各地で開催中の名作特集上映「午前十時の映画祭12」の中の1本「空の大怪獣ラドン 4Kデジタルリマスター版」。記念すべき東宝怪獣映画初のカラー作品ですが、公開は「ゴジラ」から2年後の1956年ということでネガがすっかり傷んでおり、例えばアマゾンプライムで配信中の「高画質版」を見ても色調は黄ばんでくすんで暗い。それが面目一新。RGB(赤・緑・青)の3色に分解して3本のモノクロフィルムに感光させた有り難いブツがこのたび発見され、それによって確認した色調を基に復元したのがこの「4Kデジタルリマスター版」です。 明と暗のダイナミックレンジが広がり、ディテールが豊かになったことは、作品のテーマとドラマの味わいを鮮明にもします。前半は炭鉱を舞台とした暗いサスペンスとホラーでグッと重く沈み込み、後半は壮