名古屋市は9日、木造復元を進める名古屋城の新天守閣にエレベーターを設置しない方針を正式に表明した。河村たかし市長の主張する「史実に忠実な復元」に市民からは賛同する声がある一方、障害者団体は反発を強めている。バリアフリー対策について市は「最善の努力をする」としたが、具体像は不透明なままで、今後の議論はなお曲折が見込まれる。■名古屋市「エレベーターなし」基本方針に同日開いた名古屋城の天守閣整備を議
経済的に恵まれていない家庭の子と、それ以外の子との間には、生活習慣の傾向に違いがあるのか――。兵庫県尼崎市が子どもの貧困対策に取り組むため、小中学生を対象にそんな調査を初めて実施した。勉強時間、ゲームへの依存度、虫歯の有無……。調査結果から様々な格差が浮かび上がった。 市によると、「子どもの生活に関する実態調査」と名付けたこのアンケートは昨年9月、市立学校に通う小学5年と中学2年、その保護者を対象に実施した。 収入を含めて回答した約2330世帯を、相対的貧困=キーマーク=の状態にある家庭(約230世帯)と、それ以外の家庭(約2100世帯)に分け、両グループの傾向を比べた。 1日に授業以外でどのくらい勉強するかを尋ねた質問では、小中学生ともおおむね貧困層の子の勉強時間が短い傾向にあった。「まったくしない」と答えた子の割合を両グループで比べると、小学生では貧困層の方が4・5ポイント高かった。中
長野県が県政への意見を募っている「県民ホットライン」のサイトに、特定の民族や人種を標的に差別をあおるヘイトスピーチにあたる表現が複数、掲載されていることがわかった。ツイッターで疑問の声が相次いでいる。長野県は「事態を把握しており、対応を検討する」としている。 2017年3月に受け付けた意見では、在日韓国人たちを「ならず者」と断じ、「我々の血税をならず者たちに垂れ流しています」「このならず者たちは日本国に寄生する寄生虫です」などの表現がある。また、16年12月に受け付けた意見に「韓国人朝鮮人その子孫の犯罪率最悪」「新たな在日特権を要求している」などとある。 「県民ホットライン」では、寄せられた意見とともに長野県の担当者の回答をホームページで公表している。意見は原則として全文を掲載している。だが、公表が適切でないと思われる表現について削除や修正をするとのガイドラインを設け、明示している。 長野
昭和20年代に撮影された群馬県草津町の国立ハンセン病療養所「栗生楽泉園」全景写真のパネルが完成し、園内の重監房資料館で公開されている。かつて懲罰に使われた監禁施設「重監房」(特別病室)と居住地区の位置関係が分かり、当時の暮らしぶりの一端を知る貴重な資料になりそうだ。 設置されたパネルは縦1・2メートル、横3・6メートル。昨年、入所者自治会で発見された写真3枚をつなぎ合わせて合成し、一つのパネルにした。重監房をはじめ、一定期間しか存在しなかった建物も写っており、1950(昭和25)年前後に撮影されたと思われる。 3枚の写真のうち、重監房が写った写真は昨年5月、他の2枚は11月に発見され、3枚を横に並べると、それぞれの端の部分に撮影されたものが一致。同資料館は同一人物が同時期に撮影した写真と断定した。 後で見つかった2枚は、52年に作成された楽泉園開園20周年誌に掲載された写真と同じものだった
ハンセン病の回復者が、手足にできた傷の処置に最新の方法を拒むのはなぜか――。国立ハンセン病療養所大島青松園(香川県高松市)の看護師2人が、その背景を調べた。現場での疑問から入所者らに聞き取りを重ね、4年がかりで分析。研究をまとめた論文は、学会で賞を受けた。 2人は山端(やまべり)美香子さん(48)と近藤松子さん(59)。きっかけは、市内の病院を退職して大島青松園で働き始めた山端さんが、外傷の処置に関する入所者の求めに疑問を感じたことだった。 知覚に障害が残るハンセン病の回復者は、やけどやけがに気づきにくく、手足の同じところに何度も傷ができる。処置としては、傷からしみ出る液で湿らせる環境をつくり、回復を促すのが最新とされる。しかし、多くの人は、再生しようとする細胞まで壊すおそれのある消毒や、外用薬、ガーゼといった旧来の方法にこだわったという。 ハンセン病の特効薬プロミンが… こちらは有料会員
現場建物取り壊し始まる=19人殺害「やまゆり園」-相模原 取り壊し工事のため、仮囲いが設置される障害者施設「津久井やまゆり園」=7日午前、相模原市 相模原市で19人が殺害された事件の現場となった障害者施設「津久井やまゆり園」の取り壊し工事が7日、始まった。この日は、工事の騒音防止や安全確保の目的で、仮囲いを2カ所に設置する。 〔写真特集〕相模原・障害者施設殺傷事件~植松被告の手紙~ 神奈川県の計画によると、工事は2019年3月までの予定で、現場となった2階建て居住棟や作業棟など(延べ面積約6740平方メートル)を重機などを使って取り壊す。新施設は19年度中に着工し、21年度に完成する見通し。死傷者が出なかった管理棟や体育館などは引き続き利用する。 園には午前8時半ごろから工事用の資機材が運び込まれ、正門前に仮囲いの支柱を立てる作業などが行われた。 被害者の家族も作業を見守り、事件で負傷した
旧優生保護法(1948~96年)に基づき知的障害者らが不妊手術を強制された問題で、優生手術を行った経験のある北海道内の男性産婦人科医(83)が読売新聞の取材に応じた。 北海道で全国最多の2593人が手術を受けたことについて、「国の指示に応えることで支援を手厚くしてもらおうという思惑があったのではないか」と当時の行政対応に疑問を投げかけた。 男性医師は1967年、当時勤務していた公立病院で、知的障害のある20歳前後の女性の両親から手術の相談を受けた。女性は耳も不自由で、自分の意思を伝えられなかったため、手術の適否を決める優生保護審査会は、本人の同意が不要な同法4条を適用し、男性医師を執刀医に指定した。
松山刑務所大井造船作業場(愛媛県今治市)から受刑者の平尾龍磨容疑者(27)が逃走した事件は、3週間以上に及んだ逃走劇の末、平尾容疑者が4月30日に広島市内で逮捕された。潜伏先とされた向島(広島県尾道市)をはじめ近隣住民からは安堵(あんど)の声も漏れているが、作業場は今も再開のめどが立っていない。再発防止策の検討が進む「塀のない刑務所」の内部を取材した。 寮の4、5階にある受刑者の居室に入ると、さわやかな風が通り抜けた。「空調がないから、夏は窓を開けて扇風機でしのぐんです」。鉄格子のない窓を開け、案内の職員がそう話した。
愛媛県今治市の松山刑務所大井造船作業場から脱走し、逃走していた受刑者が、広島市内で身柄を拘束された。実質「矯正施設」のような刑務所だったこの作業場からの脱走の理由は「刑務所での人間関係が嫌になったから」と報じられている。 埼玉に、奇跡のような自立支援NPOがある。なんと、ここに在籍する触法障害者の再犯件数は1件もないというのだ。 触法障害者とは、知的な障害を抱えて法に触れることをしてしまう人たちのこと。受刑者の中には、出所後も暮らす場や仕事、サポートする人がなく、結局再犯につながるケースが少なくない。 埼玉にあるこのNPO法人は、こうした触法障害者やニート・精神障害者など行き場のない人のために、生活寮付きの農業で自立支援をしている。障害者の就労を取材し続けているジャーナリストのなかのかおりさんが、再犯防止に成功している理由を探った。 触法障害者がオリーブや野菜を作っていると聞き、埼玉県熊谷
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