タグ

桜井晴也に関するshimomurayoshikoのブックマーク (3)

  • おれたちは小説で人生を救われたことがなかった、だけど小説を書き、どうしようもなく書き続けてしまい、小説がなくても生きていけたおれたちが小説を書くことで、いったい小説のなにを知り、触れることができるという|大滝瓶太

    おれたちは小説人生を救われたことがなかった、だけど小説を書き、どうしようもなく書き続けてしまい、小説がなくても生きていけたおれたちが小説を書くことで、いったい小説のなにを知り、触れることができるというのか。 そのものは不変であって、いっぽう、ひとびとの意見はそれに対する絶望の表現にすぎないって、ねえ、子ちゃん、わかるかな、わたしたちが言っていることはどれもこれも絶望の表現でしかないんだよ、わたしたちがなにを言ったとしても、この話のなかでおこったことはなにも変わらないんだよ、この話のなかで彼は死につづけていて、彼女だって死に続けているんだ、そしてこの話をしたわたしはかれと彼女とはべつに生きつづけていて、この話を聞いた子ちゃんもまた生きつづけているんだよ ──桜井晴也「愛について僕たちが知らないすべてのこと」 もうじき9ヶ月になるしたの子はじぶんではできないあらゆることをだれかに求める

    おれたちは小説で人生を救われたことがなかった、だけど小説を書き、どうしようもなく書き続けてしまい、小説がなくても生きていけたおれたちが小説を書くことで、いったい小説のなにを知り、触れることができるという|大滝瓶太
  • 人類の最後の夜|首吊り芸人は首を吊らない。

    彼が彼女に言いたいと思いながら言えなかったことを抱えたままとても長い月日がたっていた。だから彼女は自分のことを彼が言いたいと思いつづけていたことを言われたあとの自分であるように思えていた。もうずっとそうだった。 俺がこれを言ってもおまえはきっと俺のことを軽蔑しないと思うから俺はこのことをおまえに言うんだけれど、俺はずっとまえから世界のすべてのにんげんを殺しつづけてきたんだ、もうたくさんのにんげんを殺してきた、おまえに気づかれないように世界のうらがわからすこしずつ、何千人も、何万人も、何億人も殺しつづけてきたんだ。 その夜、彼はそう言った。薄暗く、ちいさな部屋だった。部屋のかたすみの台所から蜜色の光が放たれ、その部屋のまんなかあたりでゆっくりととだえつづけていた。台所と正反対の場所におおきな寝台がおかれていた。その横に窓があった。わずかにひらかれたカーテンの隙間から青白い月の光が射しこみ、そ

  • 愛について僕たちが知らないすべてのこと|首吊り芸人は首を吊らない。

    だれかが指先をにぎってくれていたような気がした。自分の指先をにぎってくれていたかもしれないだれかの手を求めるためだけに目を覚ましたような気がした。けれど、目を覚ましたときの時間と感覚をただまちがえてしまっただけのような気もおなじくらいにしていた。その日の朝に目を覚ましたんじゃなくて、昨日の朝に目をさましてしまったような気がした。昨日の朝に目をさましてしまったのに、あたりまえのようにその日の朝に横たわっている身体がいびつな不具合を抱えているような気がした。寝台の薄い毛布に顔をこすりつけるとけばが頬をくすぐった。夏の光のなかでおさないころからずっと抱えこんでいたたいせつなものを失ってしまったような気がして、子は指先をにぎっていてくれたかもしれないだれかを求めて毛布のあたたかみのなかで手を這わせた。けれど求めているのはそのだれかなんかじゃなくて携帯電話だということを子は知ってしまっていた。そ

  • 1